2017 Fiscal Year Research-status Report
まちづくりのイメージ形成における場所性の再構築と景観特性に関する研究
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17K13312
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
人見 誠・マルセール 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員(ポスト・ドクター) (10758618)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 景観 / 観光文化 / 場所性 / 門前町 / 町並み |
Outline of Annual Research Achievements |
近年のまちづくり活動にみられる均質的なイメージ形成の現状と景観特性およびその要因について全国的な分布と傾向(過疎や観光圏など社会的要因・地理的要因)から考察することを目的に基礎的資料の収集を行った。フィールドワークに先駆け、既往研究を基にデータベースづくりを進める。門前町に付随するイメージ形成に向けた空間演出の属性を示すものとして「①修景建築物の発生」、修景建築に用いられる「意匠の多様性」、地域景観の演出に用いられる広場や舗装、モニュメントやサイン板などの地域イメージが付加された「空間構成要素」を基本項目とし全国281箇所の門前町についての基礎的資料の収集とデータベースの作成を行った。観光現象とともに繰り返されてきたイメージ形成と、近年の場所性の再構築の議論の下でのイメージ形成の比較のための一次資料の収集を目的とした調査対象地の再選定を行った。初年度は主に5つの対象地(大宰府、宮島、清水寺、帝釈天、伊勢山田)を中心とした門前町での観光化とまちづくりに伴うイメージ形成の検証を行う予定であったが、基礎的資料の収集時に顕著な空間演出の実態が確認された西新井大師、川崎大師、亀戸香取神宮、亀戸天神社、弘明寺観音、身延久遠寺 宮島厳島神社に社寺及びその門前町における空間演出と観光化の実態についての観察調査を実施した。社会的背景、空間構造(景観軸、道路線形、回遊構造)、空間構成要素と地域イメージとして語られる空間特性との関連を読み取る比較対象地として琉球八社において、場所性の形成にかかる空間構成に関する資料収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
データベース化した全国の門前町の基礎資料と実際の空間におけるまちづくりイメージとその景観特性との結びつきを論じるための、本研究の核となる現地調査による一次資料の収集が当初想定していたよりも困難である点が、進捗を送らせている主な要因である。 当初想定していたデータベースを活用した分析から、個々の事例調査数を増やすことで得られる一次データを基にした景観特性と場所性について分析することで対応する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度中に収集した281箇所の門前町データベースと景観へのテーマ性の付与の類型化を進めるとともに、まちづくりのイメージ形成における場所性の再構築と景観特性の関係性についての知見を得られるべく調査・分析を効率的にすすめる。 特に、日常業務の合間に効率的に実地調査を進められるよう調査方法の再検証を行う。 30年度中には論文としてまとめるとともに、実地調査において収集したビジュアル資料を活かし社会的な発信方法の一手法としてウェブサイトの開設を目指す。また、研究結果を基にした書籍化を目指す。
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Causes of Carryover |
予定していた調査対象地の再選定を行ったこと、日常業務の間に調査可能な近郊の門前町での対象地を増やしたことで、当初の想定よりも旅費等の費用が安価に収まったことが主な理由である。次年度に繰り越した分は調査対象地の追加をすることで、より一次資料の充足を図ることとする計画である。
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