2018 Fiscal Year Annual Research Report
Reconstruction of Philosophy of Relevant Logic: From the Standpoint of Inferentialism
Project/Area Number |
17K13317
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大西 琢朗 京都大学, 人社未来形発信ユニット, 特定准教授 (50773529)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 関連性論理 / 否定 / 様相 / 明示化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、(1)様相論理のモデル論で用いられる「相対的真理」概念の哲学的意義の解明と、(2)関連性論理の意味論における「2つの計画」についての検討、の2つの課題について研究を行った。 まず(1)については、標準的な様相論理(必然性と可能性についての論理)、時制論理、およびA.プライアーの考察した自己中心的論理(自己と他者についての論理)を比較検討し、そのモデル論(可能世界意味論)で用いられる「相対的真理」概念について考察した。応用哲学会、台湾での東アジア現代哲学学会、カリフォルニア大学サンディエゴ校や台湾大学との合同ワークショップにおける発表を通じて、それらは「本質的に指標的(essentially indexical)なコミットメント」の引き受けと(広い意味での)他者への帰属にかかわる論理であるということが明らかになった。これは、本研究が目指している、可能世界意味論のブランダム流の推論主義(とくに規範的語用論)の枠組み内での解釈へと道が開かれたことを意味している。 次に(2)については、前年度の研究成果を踏まえて論文を執筆し受理された。関連性論理の意味論には従来2つの流派(「アメリカ計画」と「オーストラリア計画」)が存在してきたが、本研究では近年の「様相演算子としての否定」アプローチを使って両者の関係を明らかにした。それによれば、オーストラリア計画は、アメリカ計画の自然な拡張として位置づけられる。これは、関連性論理の意味論、ひいてはその概念的枠組みに大幅な再編成を迫る成果になると期待される。 また、2018年12月には、関連性論理(とくにその中の矛盾許容論理)の世界的第一人者であるG.プリースト教授の記念学会を、京都大学出口康夫教授、ボーフム大学大森仁准教授らとともに共催した。
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Research Products
(9 results)