2019 Fiscal Year Research-status Report
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17K13321
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡名喜 庸哲 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 准教授 (40633540)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エマニュエル・レヴィナス / マルティン・ハイデガー / ギュンター・アンダース / ジュディス・バトラー / フランツ・ローゼンツヴァイク |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、当初計画の最終年度に当たる年度であり、レヴィナスの「人間」概念の再検討についての締めくくりを行なった。とりわけ技術哲学的な観点からの研究を進め、5月にフランス・パリ市での国際シンポジウム「デリダと技術」において研究成果を発表したほか、ギュンター・アンダースの技術思想における「人間」概念についての英語論文を投稿した(2020年度に公刊予定)。この点については、「ドローン」についての技術哲学・倫理学的な考察も進め『現代思想』に論考を掲載した。 また、レヴィナス研究については、レヴィナス協会機関誌『レヴィナス研究』に論文を投稿したほか、9月にレヴィナス協会主催シンポジウム「レヴィナスとローゼンツヴァイク」で司会を務めた。また、11月ー12月にかけてのレヴィナス国際シンポジウムを主催者として関わった。この国際シンポジウムでは、ジュディス・バトラーのレヴィナス批判を検討する口頭発表を行なったほか、参加した国内外の研究者と研究状況についての情報交換を行なうことができた。また、ロシアのアンナ・ヤンポルスカヤ氏、フランスのコリーヌ・ペリュション氏、フランソワ=ダヴィッド・セバー氏とは、各氏の来日時にセミナーを開催し、最新の研究状況について情報共有できた。 また、ハイデガーとの比較検討については、ハイデガー研究会での峰尾公也著『ハイデガーと時間性の哲学』をめぐる合評会に招待され、レヴィナスとハイデガーに関する考察を行なった。 8月のフランス出張では、フランス国立図書館を利用し、本研究課題の取りまとめにあたる書籍の執筆を進め、2020年度中に公刊が予定されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記した計画のうち大半は計画通りに進展している。 ただし、研究計画に記した内容のうち、ウィトゲンシュタインおよびベルクソンとの比較研究については十分に遂行されたとは言えない。 さらに、技術哲学については、本研究に関わる分野の中心的な研究者であるベルギー・ブリュッセル自由大学のジルベール・オットワ氏が2019年に逝去したため、コンタクトをとることができなかった。これについては、計画の再考が求められる。 また、COVID-19感染症のため、2020年3月に計画していた海外出張および国内研究会参加を取りやめることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は当初の予定では最終年度であったが、上記のように、また、COVID-19感染症のため2020年3月に計画していた海外出張および国内研究会参加を取りやめ、次年度に延長することとなった。上記に指摘した不十分な点について、2020年度に取り組みたい。
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Causes of Carryover |
COVID-19の感染拡大により、2020年3月に予定していた国外出張(パリ)および国内研究会参加を中止せざるをえなかったため。 予定していた国外出張の目的はフランス国立図書館での資料調査であった。2020年度中に情勢が整い出張可能になれば国外出張を行う予定であるが、難しい場合には同図書館に資料複写依頼等を行う。
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