2018 Fiscal Year Research-status Report
An Aspect of the Reception of Musical Culture in the Japanese Society of Colonial Korea: Research Based on Contemporary Media
Project/Area Number |
17K13349
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
金 志善 東京藝術大学, 音楽学部, 助手 (30720627)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 在朝日本人 / 音楽文化 / 京城日報 / 京城放送局(JODK) / 日本伝統芸能 / 日韓近代音楽史 / 朝鮮文化史 / 植民地朝鮮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、植民地朝鮮(1910~1945)における日本人社会の音楽文化受容の一側面について『京城日報』音楽関連記事・広告と、京城放送局(JODK)の音楽プログラムなどの史料を手掛かりに明らかにするものである。 このような研究目的の基、前年度に引き続き平成30年度も京城放送局(JODK)音楽プログラムのデータ(1925~1945年)を求め、抽出作業を進めた。これら両年度の作業を合わせると、全体のデータ入力の半数以上の作業が進められている状況である。 今年度の大きな研究実績としては、6年前から準備を進めてきた『京城日報』の音楽関連記事・広告の目録集が韓国で出版されたことである(金志善編『京城日報音楽関連記事・広告目録集』民俗苑、2019年3月)。これにより、当時の音楽状況の実態把握においてより手軽く接近できる環境を作り上げたことで、日韓近代音楽文化・音楽教育関連研究において大きな役割を果たしたと言えよう。 次の実績としては、高麗大学校グローバル日本研究院在朝日本人情報事典編纂委員会編『開化期日帝強占期(1876~1945)在朝日本人情報事典』(ボゴサ、2018年9月)において在朝日本人音楽家、邦楽家、音楽教員、音楽学者など42名に対する執筆を行い、出版されたことである。本事典は、1876年~1945年まで朝鮮で活動行った官僚・財経・言論・教育・文化関連の日本人人事約1000名を網羅したもので、そのうち音楽関連人事の多くを執筆したのである。 さらに、論文の実績としては、植民地朝鮮の総力戦と歌舞伎に焦点を当て研究を行った論文(査読付き)1本が刊行されており、日本人の朝鮮民謡調査に関する論文は令和元年5月に刊行される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1。本研究の重要資料の一つである京城放送局の音楽プログラムの抽出作業が計画とおりに進んでいることで進展が見えた。 2。本研究の一部の成果として『京城日報音楽関連記事・目録集』(民俗苑、2019年3月、734頁)を出版した。 3。音楽家、邦楽家、音楽教員、音楽学者など、朝鮮で音楽活動を行なっていた日本人について執筆し、高麗大学校グローバル日本研究院在朝日本人情報事典編纂委員会編『開化期日帝強占期(1876~1945)在朝日本人情報事典』(ボゴサ、2018年9月、共著:42名担当)が出版された。 4。植民地朝鮮で行われていた歌舞伎公演の中、戦時期の総力戦において歌舞伎公演が果たした意義について考察した論文「植民地朝鮮の総力戦と歌舞伎ー中村吉右衛門と市川猿之助の慰問巡業を中心にー」(『翰林日本学』第32集、翰林大学校、203~230頁、 2018年5月、査読付)が刊行された。 5。植民地朝鮮において日本人音楽学者の兼常清佐と作曲家の石川義一の朝鮮民謡関連調査内容を精密に検討し、彼らは朝鮮民謡についてどのような認識を持っていたのかを明らかにし、その調査が持つ意義について考察した論文「植民地朝鮮における朝鮮民謡の音楽的試論―兼常清佐と石川義一の民謡調査を中心に―」(『韓国朝鮮文化研究』第17号、東京大学大学院、印刷中、2019年5月、査読付)を執筆し、令和元年5月に刊行予定をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
1。平成29~30年度の抽出作業と同様の手順で分析作業を継続。 2。研究成果の一部である『京城日報音楽関連記事・広告目録集』のうち、レコード関連広告を『資料集』として出版するために整理作業に取り込む。 3。研究目的に示した課題解明に取り込む→①メディア情報から浮かび上がった音楽の特徴解明 ②植民地朝鮮 で活動を行った音楽家の活動実態解明 ③各音楽種類ごとの演奏の場の特徴を明らかに ④「日本人社会」と「音楽」の関係性究明。 4。これまでの成果を音楽関連学会や韓国朝鮮史関連研究会等において研究発表、論文執筆。
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Causes of Carryover |
平成30年度のデータ入力作業に対する謝金が、令和元年に一括で支払うことになっていたので使用額の差が生じてしまった。令和元年は、平成30度分と併せて、 謝金として支払う金額が多くなるので計画とおりに助成金を使用することになる。
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Research Products
(3 results)