2019 Fiscal Year Annual Research Report
Modernity and Nationalism in the Murals of Merchant Houses in Colonial India
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17K13359
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
豊山 亜希 近畿大学, 国際学部, 准教授 (40511671)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | インド / 植民地 / 壁画 / タイル |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度となる令和元年度は、過去2年度間にインド、ミャンマー、スリランカにおいて実施したフィールドワークで収集したデータ、およびイギリスの研究機関において収集した文献資料を整理・分析したうえで、その成果を関連学会において発表することに重点を置いて活動した。本研究では、イギリス統治期の南アジアにおける商家建築の装飾壁画について研究を進めてきたが、特に20世紀前半には壁面装飾に日本から輸出されたタイルが積極的に受容されたことが明らかとなった。この現象はインドに限らず、イギリス統治下で「インド」の一部として編入されていた現在のミャンマーや、やはりイギリス統治下にあったスリランカにおいてもみられる特徴である。これらの地域における建築様式の展開には類似性と差異性があり、それを形成することになった要因として、植民地期の美術教育のあり方の違いや、寺院や邸宅建築のパトロンとなる豪商の社会的地位の違いが考えられることが明らかとなった。こうした研究成果について2件の国内学会発表、1件の国際学会発表を実施した。国際学会にて発表した内容については、英文学術雑誌に投稿済みで審査を待っている段階にある。 本課題の遂行を通して浮上した新たな課題として、イギリス統治期における「インド」(現在のインド、パキスタン、バングラデシュ、ミャンマー)と、周辺地域の旧イギリス植民地でインドと密接な関係をもつ地域(現在のスリランカ、シンガポール、マレーシア)において、美術の近代化の過程でどのように共通性と差異性が生まれるのか、というものがある。本研究で生まれたこの疑問を起点に新たな研究計画を策定し、令和2~5年度には新規研究課題を科学研究費(基盤研究C)の補助を得て新たに遂行できる運びとなった。本研究の成果と課題を踏まえて、現代アジア社会における文化の役割をより具体的に分析する研究を新規課題においても進めていきたい。
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Research Products
(3 results)