１６・１７世紀中国江南地域における旅行と絵画の関係についての事例研究

2019 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 17K13360
• Research Institution: Tokyo National Museum
• Principal Investigator: 植松 瑞希 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸企画部, 研究員 (70610335)
• Project Period (FY): 2017-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: 中国絵画 / 蘇州 / 明 / 清 / 旅行

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、１６・１７世紀の中国江南における旅行絵画の作例である、陸治筆「白岳紀遊図冊」（藤井斉成会有鄰館蔵）、文伯仁筆「四万山水図」（東京国立博物館蔵）、張宏筆「越中真景図冊」（大和文華館蔵）について、①画家・作品様式の美術史的位置付け、②描かれた実際の景観に対する文学的イメージとの比較、③旅行先の実際の景観との比較を行なうものである。
令和元年度は、昨年度に引き続き、１６・１７世紀の地方志・旅行文学に関する文献の読解を行なった。
また、直接旅行絵画を主題にしたものではないが、陸治筆「後赤壁図巻」（上海博物館蔵）の出陳を含む展覧会「特別展　三国志」（東京国立博物館ほか）、および、文伯仁「四万山水図」の出陳を含む展覧会「生誕５５０年記念　文徴明とその時代」（東京国立博物館ほか）の企画に参加し、図録の一部を執筆した。特に後者の展覧会は、１６・１７世紀の蘇州画家を特集したものであり、本研究内容に関わる知見も得ることができた。
なお、第二子にかかる産前産後の休暇・育児休業の取得などに伴い、令和元年１２月１日から令和２年４月２９日まで本研究を中断した。

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

第二子妊娠出産にかかる体調の変化、産前産後の休暇・育児休業の取得により、予定していた海外出張をともなう作品調査を行なうことができなかったため。

Strategy for Future Research Activity

令和元年度実施予定であった作業を次年度以降に振り分け、作品調査と描かれた旅行先の実地踏査を行なう。ただし、新型コロナ感染拡大状況をかんがみ、海外出張を伴う調査の実施や時期は慎重に判断し、適宜研究計画を変更する。
令和２年度は陸治、文伯仁、張宏、それぞれの画家の個人様式を理解し、画業全体における本研究対象作品の意義を考察するため、アジア地域所蔵作品の調査を行なう。
令和３年度は、欧米美術館所蔵作品の調査を行なう。また、描かれた旅行先の実地踏査を行ない、実際の景観と絵画表現との関係について考察する。成果発表も積極的に行なう。

Causes of Carryover

第二子妊娠出産にかかる体調の変化、産前産後の休暇・育児休業の取得により、令和元年度に予定していた海外出張を行なうことができなかったため、次年度使用額が生じたが、この海外出張を令和２年度以降に行なうことで当該助成金を使用する予定である。