2018 Fiscal Year Research-status Report
戦後期「新国劇」と映画・テレビ・ラジオの相関性の研究
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17K13366
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
羽鳥 隆英 新潟大学, 人文社会科学系, 助教 (70636026)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 新国劇 / 行友李風 / 澤田正二郎 / 国定忠治 / 演劇 / 映画 / テレビ / ラジオ |
Outline of Annual Research Achievements |
①2017年12月11日~14日に実施した劇団「新国劇」最初期の劇作家・行友李風の遺品群(尾道市文学記念室蔵)調査成果を整理した上、研究報告「新国劇『国定忠治』成立史:行友李風の位置付けの再検討を中心に」(日本演劇学会全国大会、神戸松蔭女子学院大学、2018年7月1日)、資料紹介「脚本草稿『國定忠次』(尾道市文学記念室蔵)翻刻」(『人文科学研究』第143輯[2018年]19頁~79頁)、同「行友李風宛=澤田正二郎書簡(尾道市文学記念室蔵)翻刻」(『演劇研究』第42号[2019年]163頁~173頁)にまとめた。 ②2018年7月28日、旧・新国劇座員の滝洸一郎(宮本曠二朗書生)・伊村和子(初瀬乙羽書生)夫妻に提供を受けた膨大な映像群を整理した上、調査成果を研究報告「揚幕の視線、修業者の視線:新国劇『中間的』映像に見る大劇場の時空間」(日本演劇学会研究集会、2018年11月11日、静岡文化芸術大学)にまとめた。同時に旧・新国劇座員の山田貫太郎(島田正吾書生)聞き取り調査(2018年11月12日)、旧・新国劇座員の緒形拳(辰巳柳太郎書生)遺品群を整理中の「緒形拳研究会」(東海大学)調査(2018年11月13日)を実施した。 ③映画『日本のいちばん長い日』(岡本喜八監督、1967年)を巡り、当時の新国劇座員の配役にも着目しつつ、研究報告「岡本喜八『日本のいちばん長い日』の天皇表象を読み直す:音声と配役を手掛りに」(日本映画学会全国大会、大阪大学、2018年12月8日)を実施した。 ④上記「緒形拳研究会」(東海大学)調査を通じ、時代考証学会の招聘を受け、研究報告「幕末=明治維新表象と地域性:河井継之助(越後長岡藩)を事例に」(時代考証学会、明治大学、2019年3月23日)を実施した。以上4件の研究報告は2019年度に論文化の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初に計画した旧・新国劇座員の聞き取り調査を通じ、様々な映像群が新たに資料化された。本研究は、新国劇座員が出演した映画・テレビ・ラジオなどの研究を通じ、戦後期日本の芸能界における演劇と大衆的コミュニケーションの相関性を解明するのが主目的であるが、当時の座員が自身、録画・録音した映像・音声資料を通じ、被写体の立場に加え、記録者の立場の研究も可能化した。実際、旧・座員に提供を受けた資料群は、①自身や劇団の先輩・同輩・後輩が出演した映画・テレビ・ラジオの録画・録音などの大衆的コミュニケーション資料、②演劇公演の内部者用の記録や結婚式・祝賀会の記録などの中間的コミュニケーション資料、③自身の私生活の記録などの個人的コミュニケーション資料と重層的である。この重層性への接近は研究の深化の重要な一歩である。無論「研究実績の概要」③の研究報告「岡本喜八『日本のいちばん長い日』の天皇表象を読み直す:音声と配役を手掛りに」のように被写体の立場を巡る研究も進展中である。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」に申し述べた通り、2019年度は蓄積された研究成果の論文化を完遂する計画である。本研究の最終年度2020年度における全成果の単著化を目指し、諸学会・諸機関の学術誌に投稿する予定である。同時に聞き取り調査・資料調査の対象の展開も計画中である。
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Causes of Carryover |
2018年度第4四半期に新潟大学地域映像アーカイブ研究センター研究教育事業が集中し、本研究の一時的な減速を余儀なくされた結果、次年度使用額が発生した。資料収集に充当したい。
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Research Products
(6 results)