2017 Fiscal Year Research-status Report
戦後岩手における農村演劇の調査研究 - 劇団ぶどう座関連資料の収集整理
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17K13370
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
須川 渡 大阪大学, 文学研究科, 招へい研究員 (50709566)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 舞台芸術 / 農村演劇 / サークル文化運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は第二次世界大戦後の岩手県の農村演劇の実態を、作品分析の側面から調査・研究することを主眼としている。本年は特に岩手県湯田町(現西和賀町)を拠点とする劇団ぶどう座の1950年代から60年代の劇作品に関する調査を進めた。 本年は、2016年に劇団ぶどう座劇団員の遺族から提供のあった史料の収集・整理を中心に行った。また、1949年まで湯田町に存在していた芝居小屋・川尻座についての聞き取り調査をした。2017年5月に地域住民4名にヒアリングを行い、川尻座および1950年前後の西和賀について話を伺った。同月、国立国会図書館にて地元の新聞『西和賀新報』の調査を行った。 研究の成果は主に研究発表2件とレクチャー1件を通して発表した。まず、大阪大学で開催された近現代演劇研究会において、「サークル文化運動としての演劇実践 ―劇団ぶどう座の新史料を手がかりに」を発表した。本発表は、1950年代から60年代のぶどう座の活動を再検討し、『嵐と沼』(1960)および『町長選挙』(1960)の2作品の分析を行った。また、国立韓国藝術綜合学校で開催された国際シンポジウムにおいて、The Future of Japanese Regional Theatre - The Cultural Movement of the Budoza Theatre Companyを発表した。本発表では、2003年以降の劇団ぶどう座の活動を検討した。また、西和賀町立銀河ホールで開催された第25回銀河ホール地域演劇祭においてレクチャーを行い、地域住民との交流も含め、より広く成果を発表することができた。 以上のように、本年はこれまで行ってきた劇団ぶどう座史料の収集・整理およびヒアリングの成果を研究発表およびレクチャーの形で発表した。史料整理に関しては、リスト化の作業もほぼ終了しており、次年度目録を公開する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査地で行われた聞き取りの内容を裏付ける資料を発見することができ、作品分析についても当初の計画通り行うことができた。次年度は、劇団ぶどう座の演劇活動の歴史的意義について、同時代に展開したサークル文化運動との関わりを中心に考察を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果を論文としてまとめる。先に述べた通り収集・整理した新史料については関係者に十分なコンタクトをとったうえで目録として公開する。また、今年度に作品分析を行った『町長選挙』については未刊行のため、活字化したうえで公開、再活用しやすい状態にする。
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Causes of Carryover |
想定よりも旅費が多くなったこと、また人件費を用いなかったこと、これらの調整の結果生まれたものである。次年度における使途については、複写代にあてる予定である。
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