2018 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical study on the transboundary nature of wartime Chosen-Manchuria partnership (tie-up) films
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17K13373
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Research Institution | Miyagi Gakuin Women's University |
Principal Investigator |
李 敬淑 宮城学院女子大学, 学芸学部, 准教授 (80723048)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 朝鮮映画 / 満洲映画 / 鮮満映画 / 提携映画 / タイアップ / 李創用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、戦時下の植民地・占領地において製作された外地映画、とりわけ両地域が「提携(タイアップ)製作」に挑んだ映画についてその全貌を明らかにすることを目的としたものである。「提携(タイアップ)製作」は、1930年代後半から1940年代初頭の朝鮮映画や満洲映画を理解するキーワードの一つであり、1930年代後半、帝国日本から導入された映画制度(映画法)と、「映画の企業化」を目指した両地域の映画人たちの欲望が如何なる関係性をもっていたかを語ってくれる現象ともいえる。 研究遂行にあたり、まずは、東アジア映画史初の鮮満提携映画『福地萬里』(1941)について調査した。その結果、映画『福地萬里』の企画には、朝鮮の映画会社である高麗映画協会が深く関わっており、その中でも大日本帝国の新映画法による「映画新体制」に対して積極的な姿勢を見せた若手映画人たち(李台雨、李創用など)が関与していたことが明らかになった。また、ここに集まった若手映画人たちは「日本、朝鮮、満洲、大陸を一つに繋げる日本帝国の統治戦略」の一環である「映画新体制」に適切に対応することによってのみ朝鮮映画が生き残れると考えていたことが分かった。特に、提携映画の企画者・李創用の日本における映画留学を全貌を確認するため、日本国内・外の資料を調査し、彼の参加した対談やインタビューなど、満洲地域の雑誌や新聞紙面で発表された文献資料を入手した。 これらの作業を通して、未だに明確にされていない映画『福地萬里』の全貌を明らかにし、とりわけ映画新体制時代の高麗映画協会とその会員たちに注目することで、帝国日本と植民地朝鮮・占領地満洲を繋げる帝国映画市場のネットワークのあり様を今後も引き続き明らかにしていきたい。
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