2020 Fiscal Year Annual Research Report
Introducing a new system of practical sheet music, script interpretation and speech in Italian opera
Project/Area Number |
17K13377
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Research Institution | Nagoya College of Music |
Principal Investigator |
森 雅史 名古屋音楽大学, 音楽学部, 准教授(移行) (50767663)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | イタリア・オペラ |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、新型コロナウィルス流行の影響を受け、イタリアへの渡航が叶わず、本研究は足踏み状態となった。しかしながら、日本人声楽学習者に向けたイタリア・オペラ作品における舞台発語法ならびに歌唱旋律解釈法の体系化に向け、これまでの研究成果ならびに取り上げてきた参考文献の内容と、1890年代から1950年代までのSPレコードによる様々な歌唱資料を考察することで、本研究内容の裏付けを確認する作業を行った。現代歌唱法ならびに発語法における特徴と過去の舞台表現法を比較することで、その変遷をある程度まとめる事に繋がった。手始めに現存する、歴史的に著名な歌手が残した文献を中心に検証を試みたが、歌手がその技術や表現法について具体的に執筆していること自体稀であり、オペラに代表されるヨーロッパにおける歌唱芸術は伝統芸能であるという見地からも口頭伝承により伝えられる側面が強いことや歌手の師弟関係や作曲家との関係性も踏まえて、歴史的歌唱録音を細かく分析し紐解くことで、当初研究計画にない作業ではあったが、具体的な情報を獲得する上で大きな情報源となるに至っている。またこうした歴史的な歌唱法を分析する本作業を通して現代の歌声との技術的差異を感じたことと、コロナウィルスの影響による対面の指導に近いリモートレッスンの実現の必要性から、「可視化した歌唱(音声)データを活用した声楽指導法の体系化」という新たな研究課題を着想するに至り、新たに取り組む運びとなっている。
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