2017 Fiscal Year Research-status Report
在静岡資料の調査を基盤とした近世和学に関する基礎研究
Project/Area Number |
17K13389
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
高松 亮太 県立広島大学, 人間文化学部, 講師 (20634538)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 和学 / 国学 / 賀茂真淵 / 石川依平 / 本居宣長 / 内山真龍 / 万葉集 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本研究全体の基盤を固めることを目的とし、静岡県内(特に遠州地域)に伝存する資料(特に賀茂真淵とその門流に関する資料)の調査と分析、および内容把握に焦点を絞って研究を行った。 調査に赴いた所蔵機関は、内山真龍資料館、嵐牛俳諧資料館、賀茂真淵記念館(以上、静岡県)、神宮文庫(三重県)、国文学研究資料館、国立国会図書館(以上、東京都)、関西大学図書館、大坂天満宮、大阪府立中之島図書館(以上、大阪府)、西尾市岩瀬文庫、名古屋市蓬左文庫(以上、愛知県)、洲本市立洲本図書館(兵庫県)などである。また、遠州地域には個人が所蔵している資料も多いため、和学者や俳人の子孫宅にも訪れ、資料調査を行い、必要に応じて写真撮影や複写を行った。これらの調査によって、賀茂真淵や本居宣長、石川依平などに関する新たな資料(書簡、写本、書入本など)を見出すことができたほか、内山真龍の詠歌と伝記事項に関する資料も精査することができ、遠州地域における真淵学の享受の具体が浮かび上がってくるとともに、近世後期の遠州和学者たちの新たな足跡も明らかとなってきた。 さらに、上記の調査を踏まえ、主に真龍の詠歌に対する真淵の添削内容を分析した論考「賀茂真淵と内山真龍―『内山真龍翁関係手帖横巻』を中心に―」や、新たに見出すことのできた資料(「嵐牛俳諧資料館所蔵の本居宣長書簡」「増田嘉伸氏ご所蔵の石川依平詠草について」)の報告ができたことも本年度の基礎研究の着実な成果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、本研究全体が目指す真淵の学問活動や遠州地域における真淵学の広がり、近世後期和学者たちが行っていた和学活動の解明のための基盤作りに重点をおき、静岡県をはじめとする各機関や個人宅への調査を重ねた。結果として、真淵や宣長といった和学者たちの資料を数多く掬い上げることができ、資料整備が順調に進んだことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き静岡県内をはじめとする各所蔵機関で真淵学関連資料の調査・収集を行い、真淵学の内実と伝播の様相、門流の活動を考察していく。とくに門人300人を抱え、近世後期の遠州で指導者的立場にあった石川依平の家集『柳園詠藻』稿本の分析を通し、遠州の和学者たちの足跡を明らかにすることを目指す。 なお、本年度および次年度における研究成果の公表は、学会発表、論文、講演、公開講座などの形で公表し、社会に還元していく予定である。
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Causes of Carryover |
年度末予定していた調査を本年度に延期せざるを得ないことになったためである。繰越金額は、研究の進捗状況に鑑みて適切に使用してゆく。
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Remarks |
賀茂真淵記念館の2017年度記念館カレッジ(全3回)において研究成果を社会に還元した。
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