2017 Fiscal Year Research-status Report
榊原本『源氏物語』の研究――古本系『源氏物語』の位置付けを明確にする
Project/Area Number |
17K13392
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
武藤 那賀子 学習院大学, 付置研究所, 研究員 (40759495)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 榊原本『源氏物語』 / 書誌学 / 本文研究 / 古本系本文 / 鎌倉中期-後期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、以下の3点である。①榊原本の詳細な書誌解題。②学習院大学所蔵の「藤袴」巻(榊原本の僚帖)の書誌情報から見直すことによる、榊原本が17帖になった時期の特定。③各帖における、書写者の人数把握と書写者の推定。 採択者は、2017年12月に行なわれた全国大学国語国文学会冬季大会(富山大学)において、「榊原本僚帖『源氏物語』「藤袴」巻(学習院大学日本語日本文学科所蔵)と中院通茂」という題目で発表を行なった。この発表により、学習院大学所蔵の「藤袴」巻(榊原本僚帖)の題簽が中院通茂の手によるものであると断定できただけでなく、書誌学的見地から作品の「読み」へと繋がる視点を獲得できた。また、この際の研究により、研究目的の①②も達成された。 2018年2月には、「三条西家旧蔵本(学習院大学所蔵)『源氏物語』「須磨」巻の書誌解題と翻刻―日本大学所蔵三条西家旧蔵本との比較―(前半)」(『学習院大学国際研究教育機構研究年報』第4号)を執筆し、同じ古本系であり、榊原本も所蔵していた三条西家が所蔵していた本文についても検討した。 さらに、榊原本僚帖である「藤袴」巻および同時期に書写された「帚木」巻(いずれも学習院大学所蔵)を学習院大学図書館のサイト(https://glim-op.glim.gakushuin.ac.jp/。リンク先の3、4ページ目)にて公開した。 研究目的の③は、4年間かけて行なうものであるため、まだ終わっていない。しかし、順調に進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全国大学国語国文学会冬季大会(2017年12月、富山大学)における発表(「榊原本僚帖『源氏物語』「藤袴」巻(学習院大学日本語日本文学科所蔵)と中院通茂」)での質疑応答で、書誌学的見地から作品の「読み」へと繋がる視点を獲得できたため。 また、学習院大学図書館の対応が良く、スムーズに資料撮影および公開が実現したため。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年5月に中国文化大学(中華民国台湾省)での学会において、榊原本で唯一、書写年代の異なる「桐壺」巻(三条西家にて書写されたとの伝承がある)と三条西家本『源氏物語』「桐壺」巻(日本大学)との比較を行なう。この結果により、残りの巻の比較の仕方を検討・改善する予定である。
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Causes of Carryover |
購入に迷った書籍があったため、昨年度は35000円ほど残ってしまった。今年度は、昨年度とは所属が変わり、定期的に長距離移動する必要ができたため、移動費として使用する予定である。
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Remarks |
「学習院大学デジタルライブラリー」の3、4ページ目が、本研究に関するものである。
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Research Products
(5 results)