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2017 Fiscal Year Research-status Report

シェイクスピア時代の地中海世界とシェイクスピア作品におけるその表象の解明

Research Project

Project/Area Number 17K13404
Research InstitutionHirosaki University

Principal Investigator

土井 雅之  弘前大学, 人文社会科学部, 講師 (00614992)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywordsシェイクスピア / エリザベス朝演劇 / 地中海世界 / 宗教 / 貿易
Outline of Annual Research Achievements

申請時の研究実施計画に従って、平成29年度は、シェイクスピアの『間違いの喜劇』と『から騒ぎ』について研究発表を行う。
先ず、『間違いの喜劇』については、平成29年6月に第56回シェイクスピア学会での研究発表に応募した。採用が決定すると、同年9月のStuart朝研究会第54回秋例会(専修大学神田キャンパス)にてプレ発表を行い、十分な準備をした上で、10月のシェイクスピア学会(近畿大学東大阪キャンパス)にて、研究発表「‘where any honest men resort’――『間違いの喜劇』におけるエフェソス像解析」を行った。本研究は、当時の東地中海情勢を踏まえつつ、『間違いの喜劇』における都市エフェソスのイメージを読み解くことを試みた。平成28年度に行った、スペイン王国とオスマン帝国の対立を軸に『テンペスト』と当時の西地中海情勢を考察した、2回の研究発表と1本の論文執筆(最終的には、「『あらし』から浮かび上がる西地中海像」と題する)との関係性に注目を得た。
次に、『から騒ぎ』については、平成29年6月に日本英文学会東北支部第72回大会での研究発表に応募した。採用が決定すると、上述した『から騒ぎ』の研究発表準備と同時並行で、準備を行い、同年12月、日本英文学会東北支部第72回大会(東北大学川内南キャンパス)にて研究発表「『から騒ぎ』から読み取る上演当時の国際情勢への関心」を行った。本研究は、作品の時代背景と主筋に加えられた材源からの変更点との関係性を説明しながら、こうした変更点によって『から騒ぎ』が当時の国際情勢への関心も組み込んだ喜劇となったことを論証し、それを読み解くことを試みた。翌年1月、第30回エリザベス朝研究会(慶應義塾大学日吉キャンパス)にて、同研究のポスト発表を行う。ここ50年の『から騒ぎ』批評を踏まえた上で、主筋の変更点に注目する本研究は評価を得る。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

シェイクスピアの『間違いの喜劇』と『から騒ぎ』は、前者がエフェソスを中心とした東地中海を舞台にし、後者がシチリア島のメッシーナ(1571年のレパントの海戦で、キリスト教連合艦隊の集結地であり、象徴的な意味を持つ地中海上の港湾都市)を舞台にしていることから、当時のスペイン王国とオスマン帝国の対立を作品の背景にしているという共通点がある。申請時から予想していたことではあるが、両作品を同時並行的に扱うことによって相乗効果が生じ、研究を予定通りに進めることができた。両作品の発表はそれぞれプレ発表とポスト発表を行うことによって、より多くの質疑を受けられ大きな成果となった。

Strategy for Future Research Activity

現時点で大きな問題はなく、順調に研究を進められているため、平成30年度も申請通りに調査・分析を進めていく。具体的には、ヴェネツィア共和国を舞台としたシェイクスピアの作品群を研究対象とする。スペイン王国とオスマン帝国の間に位置し、アドリア海に守られる形で勢力を保ち続けたヴェネツィアは、シェイクスピア作品に登場する多くの都市を内包する。『ヴェニスの商人』と『オセロー』の舞台である共和国の首都ヴェネツィア(ヴェニス)はもちろんのこと、『じゃじゃ馬ならし』の舞台パドヴァ、『ヴェローナの二紳士』と『ロミオとジュリエット』の舞台ヴェローナ、更にはオセローが防衛に向かうキプロス島もその領土に含まれていた。(ただしキプロス島は、1571年にはオスマンに奪われているため、『オセロー』の世界で描かれるような、キリスト教世界の前線基地では既にない。)
ヴェネツィアは、東地中海貿易で一定の存在感を示し続けており、レヴァント・カンパニーのライバルであると同時に交易相手でもあったため、地中海において、スペイン、オスマンに続いて、自然とイングランド人の関心が向く国であったのだろう。スペインやオスマンと同じように、ヴェネツィアの支配地域を確認しながら、上記のシェイクスピア作品に出てくる地名とその持ち得る意味を論述していく。本研究はイングランドに伝えられたヴェネツィア周辺の地誌情報が、シェイクスピアの作品世界を構築する現実感を補強していた可能性を論証する予定である。

Causes of Carryover

資料収集にイギリス(ロンドン他)に行く予定であったが、2017年になってイギリスでテロが数度起こったことにより海外出張を見送ったため。また、そのさいに携帯することを目的に、購入を予定していた小型パソコンも見送ったため。購入予定であった図書の刊行が遅れたため。
平成30年度は、平成29年度に見送った物品の購入を行いつつ、予定通りに助成金を使用していきたい。

  • Research Products

    (4 results)

All 2018 2017

All Presentation (4 results)

  • [Presentation] 『から騒ぎ』から読み取る上演当時の国際情勢への関心(ポスト発表)2018

    • Author(s)
      土井雅之
    • Organizer
      第30回エリザベス朝研究会
  • [Presentation] ‘where any honest men resort’ ――『間違いの喜劇』におけるエフェソス像解析(プレ発表)2017

    • Author(s)
      土井雅之
    • Organizer
      Stuart朝研究会第54回秋例会
  • [Presentation] ‘where any honest men resort’ ――『間違いの喜劇』におけるエフェソス像解析2017

    • Author(s)
      土井雅之
    • Organizer
      第56回シェイクスピア学会
  • [Presentation] 『から騒ぎ』から読み取る上演当時の国際情勢への関心2017

    • Author(s)
      土井雅之
    • Organizer
      日本英文学会東北支部第72回大会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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