2018 Fiscal Year Research-status Report
シェイクスピア時代の地中海世界とシェイクスピア作品におけるその表象の解明
Project/Area Number |
17K13404
|
Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
土井 雅之 文教大学, 文学部, 准教授 (00614992)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | シェイクスピア / エリザベス朝演劇 / 地中海世界 / 宗教 / 貿易 |
Outline of Annual Research Achievements |
地中海を中心とした交易品についての調査を発展させて、2018年10月、第57回シェイクスピア学会のセミナー2「シェイクスピア劇と同時代の娯楽・風俗文化」にメンバーとして参加し、研究発表「居酒屋、酒、シェイクスピア」を行う。応募し採用が決まった後は、同年9月に、エリザベス朝研究会第33回にて研究発表「シェイクスピア作品におけるワイン」を、また、Stuart朝研究会第57回秋例会にて研究発表「シェイクスピアと飲酒文化」を行い、報告と修正を重ねて本番に挑む。充実した資料を添えての発表は評価を得る。 平成29年度に行った研究発表「『から騒ぎ』から読み取る上演当時の国際情勢への関心」を2018年9月に『日本英文学会第90回大会Proceedings(付2017 年度支部大会Proceedings)』にて報告を行う。また、同じく平成29年度に行った研究発表を基に、Shakespeare Journalに論文を投稿し、査読を受けた上で掲載される(Vol. 5 (58)、2019年3月、題名を「“where any honest men resort” ――『間違いの喜劇』に見る東地中海への興味とそのイメージの変化」と変更する)。 依頼を受け書評を執筆し、査読を受けた上で掲載される。(「勝山貴之著『シェイクスピアと異教国への旅』」、『英文学研究』第95巻、2018年12月。) 東地中海を舞台にした『ペリクリーズ』についての研究発表を2回行う。(「ペンタポリスに響くのは竪琴か剣戟か――『ペリクリーズ』の結婚エピソード論考」、2019年3月、学習院大学中野春夫教授科研費プロジェクト「シェイクスピア劇の小唄――テクストに埋め込まれた聴覚的連想イメージコード」主催第7回研究会。「材源、類話との比較から『ペリクリーズ』を考察する――第2幕を中心に」、2019年3月、エリザベス朝研究会第35回。)
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東地中海を舞台にした『間違いの喜劇』について、平成29年度に研究発表を行い、平成30年度に論文執筆を行っていたため、同じく、東地中海を舞台にした『ペリクリーズ』についての2回の研究発表では、時代背景についての知識を応用して利用することができ、予定通りに研究を進めることができた。それぞれの研究会の参加者から質問や意見を得られ、今後の研究に繋げることができる。 また、『間違いの喜劇』論そのもののShakespeare Journalでの掲載は、平成29年度にプレ発表を経た上で本発表を行い、十分な準備を続けたことにより達成できた成果である。 第57回シェイクスピア学会のセミナー2「シェイクスピア劇と同時代の娯楽・風俗文化」にメンバーとして参加し行った研究発表「居酒屋、酒、シェイクスピア」は、平成31年度に計画していた地中海の交易についての研究を先行しており、こちらも今後の研究に繋げることができる。
|
Strategy for Future Research Activity |
現時点で大きな問題はなく、順調に研究を進められているため、計画通りに、平成31年度もこれまでの研究を発展させつつ、最終年度のまとめを行っていく。具体的には、『間違いの喜劇』と同じく東地中海を舞台にした『ペリクリーズ』についての研究と、地中海上の交易、加えて、それを脅かす海賊についての研究を継続・発展させていくことである。 最終年度のまとめについては次のように計画中である。本研究課題の出発点になった『あらし』論において、スペイン王国とオスマン帝国の対立を軸に当時の西地中海情勢を考察し、平成29年度に研究発表を行い、平成30年度に論文執筆を行った『間違いの喜劇』論では、当時の東地中海像を取り上げ、平成29年度に研究発表を行い、平成30年度に研究発表報告を行った『から騒ぎ』論では、シチリア島が舞台のため、地中海の中央についての調査を行ったため、それらを連携させつつ、シェイクスピア時代の地中海像を解明する。
|
Causes of Carryover |
勤務先が弘前大学(青森県弘前市)から文教大学(埼玉県越谷市)へと移り、荷物の整理を行う必要が生じ、物品購入を必要最小限のものに絞ったため。新しい勤務先の学年歴に対応できるように、出張を控えたため。通信費が予定していたよりも安くなったため。平成30年度に注文した物品(1点)が平成31年度に納品されたため。
|