2019 Fiscal Year Research-status Report
シェイクスピア時代の地中海世界とシェイクスピア作品におけるその表象の解明
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17K13404
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
土井 雅之 文教大学, 文学部, 准教授 (00614992)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | シェイクスピア / エリザベス朝演劇 / 地中海世界 / ベネチア / 交易と衝突 |
Outline of Annual Research Achievements |
シェイクスピアはベネチアを舞台に『ヴェニスの商人』(The Merchant of Venice)と『オセロー』(Othello)の2作品を書いている。創作年に数年の開きがある、その2作品を一緒に論じることで、地中海世界の中心に位置するこの国際港湾都市に、当時のイングランド人がどのような関心を持ち続けたのかを明らかにすることを試みた研究発表を行う。 まず、Stuart朝研究会第60回秋例会にてプレ発表を行い、いただいた意見から修正を施して、次に、2019年10月、第58回シェイクスピア学会にて、本番の発表「シェイクスピア作品におけるベネチア」を行う。質疑応答の時間いっぱいに複数の質問や意見を得る。 日本シェイクスピア協会の研究年刊Shakespeare Studiesの査読委員となり、4本の書評の査読を担当する。本研究の参考にもなる新しい文献を読む機会となる。 2019年12月25日(出発)~30日(帰国)の間、ロンドンに出張する機会を別の研究活動で得られ、合間の時間に、本研究用に現地調査、情報・資料収集を行う。シェイクスピア時代を中心とした、地中海世界の表象を美術館で絵画作品に確認したり、地中海世界との交易によって輸入した調度品を博物館で見学したりすることができた。 年度末に、Stuart朝研究会とエリザベス朝研究会の2つで研究発表を行う予定であったが、新型コロナウイルスの影響で中止となる。ただし、それぞれの研究発表のためにしていた準備は、2020年度の研究活動に活かせるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績にまとめた研究発表によって得られた成果は、予定していたものを順調に実行することができた結果である。プレ発表と本番の発表でいただいた質問や意見は、今後の研究にも繋げることができる。 本研究の活動に直接関係のない、Shakespeare Studiesの査読やロンドン出張も、結果として、本研究に有益なものとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
補助事業期間を延長したことにより、当初の計画よりも踏み込んだ研究を行える予定である。2020年7月に、ウェブカンファレンスで予定されている日本英文学会第92回大会で、研究発表「シェイクスピア独自のフィレンツェ像はどのように形成されたのか」をする。その後は、これまでの研究成果をまとめつつ、シェイクスピア時代の地中海像を解明することを試みる。
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Causes of Carryover |
2019年度はほぼ予定通りの額を使用できたが、2018年度までに以下の諸理由により、次年度使用額が生じた。 資料収集にイギリス(ロンドン他)に行く予定であったが、イギリスでテロが数度起こったことにより海外出張を見送ったため。2018年度に、勤務先が弘前大学(青森県弘前市)から文教大学(埼玉県越谷市)へと移り、荷物の整理を行う必要が生じ、物品購入を必要最小限のものに絞ったため。新しい勤務先の学年歴に対応できるように、出張を控えたため。通信費が予定していたよりも安くなったため。
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