2019 Fiscal Year Research-status Report
科学の源流と形而上派詩人たち- 17世紀英文学と磁力
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17K13409
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松本 舞 広島大学, 文学研究科, 助教 (00754326)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 17世紀英詩 / 形而上派詩 / ヘンリー・ヴォーン / 科学思想 / 磁力 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度6月に発行されたScintilla22:Scintilla: A journal of literary criticism, prose and new poetry in the metaphysical tradition に論文 'Magnetic Power in Henry Vaughan’s Poetry' を掲載した。この国際雑誌には、Jonathan F.S. Post,Walking with Vaughan in Silex Scintillans, Jonathan Nauman, '‘The Philosopher’s Vision: Experiencing the Consolatio Philosophiae in Silex Scintillans and Thalia Rediviva, などの論考が収録されている。本論考では、この論文の中では、ヘンリー・ヴォーンの詩群の科学的な表現に注目し、詩人が、復活の表現に磁力の双方向の力を描いていることに注目した。 磁気というものが光であると考えられていたことは、例えば、ロバート・フラッドの論文かも見て取ることができる。また、アタナシウス・キルヒャーが考案したsunflower clockも光の磁気を応用したものである。 詩の中でヴォーンは、鶏が光の家への道を知っているかのようだ、と歌っているが、実際に17世紀当時、鳩などの鳥が磁力をもち、巣に帰る道を理解していたことは、例えば、ロバート・フラッドが、新プラトン主義的なエマナチオの概念を用いながら、磁力を説明した叙述があることからもわかるが、この思想がヴォーンの表現のなかにも表れていることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヘンリー・ヴォーン研究の中心である国際学会24th Annual Colloquium に参加し、Ronald Dickson, Helen Wilcox, Jonathan Nauman, Roberrt Wilcherといった、形而上派詩研究の第一人者と研究の議論を進めることができた。また、アメリカで開催されたSouth Central Renaissance Conference に参加し、Andrew Marvell Societyのメンバーをはじめ、若手研究者らとの議論を行うことができた。 また、17世紀の英文学研究を行う国際学会 Hiroshima Association Renaissance Studiesを立ち上げ、University of LondonのSandra Clark教授の特別招聘公演、若手研究者の学会発表を開催することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
終末思想における科学思想の論考をまとめ、その成果をThe Seventennth Century 及びRenaissance Studiesに投稿する。 また、ヴォーンに関する新しい考察を加えたものを『キリスト教辞典』に掲載する。
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Research Products
(4 results)