2019 Fiscal Year Annual Research Report
The U.S. Southern Exceptionalism and Ex-slave Narratives in the New Deal Era
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17K13410
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山根 亮一 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (90770032)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 南部例外主義 / プリントカルチャー / ウィリアム・フォークナー / ウィリアム・ギルモア・シムズ / ドナルド・デイビッドソン / 冷戦 / 自由民主主義 / ヒルビリー |
Outline of Annual Research Achievements |
この年度では,南部例外主義文学をめぐる新たな方向性を確立することを目標とし,学会,論文発表を行った.その過程でプリントカルチャー論と遭遇し,この視点がいかにいままで行ってきた研究と相性が良いか、ということを確認した。 まず,国内を代表する二つの学会,日本アメリカ文学会全国大会,そして日本英文学会全国大会にて,共にシンポジウムに登壇した.前者においては,「Hillbilly, Esq.――Mountain Boysと大恐慌時代のプリントカルチャー」と題して南部山岳住民ヒルビリー表象の在り様を論じ,後者においては,「戦後ヒューマニズムとアメリカ南部例外主義――日本のフォークナー受容をめぐるプリントカルチャー」というタイトルで、文化冷戦の文脈において南部例外主義の問題を論じた. そして論文発表については,論集『空とアメリカ文学』に「『標識塔<パイロン>』をめぐるプリントカルチャーについて」を寄稿した。プリントカルチャー論を視座として,これまで長年研究の焦点をあててきたウィリアム・フォークナーの小説を再解釈した.また、東工大の審査付き論文集,Polyphoniaでは,19世紀南部作家ウィリアム・ギルモア・シムズ,20世紀南部農本主義者ドナルド・デイビッドソンらについて論じた.近年のrelational turnに対する南部文学史からの返答である.その他,日本ウィリアム・フォークナー協会,週刊読書人にて書評を寄稿した. 上記のことが示すように、今年度の業績の多くを特徴付けるのは南部文化・文学とプリントカルチャー論である。この新たな方向性を得られたことが、これまでの研究成果である。南部例外主義、冷戦、そしてそれらを語る上で必ずタックルしなくてはならない戦後自由民主主義の問題に取り組めたことは、この三年間の到達点であり今後の指標でもある。
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Research Products
(4 results)