2018 Fiscal Year Research-status Report
サルトル後期思想の展開 - 「単独的普遍」から「ラッセル法廷」へ
Project/Area Number |
17K13423
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
南 コニー 神戸大学, 人文学研究科, 人文学研究科研究員 (10623811)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | サルトル / ラッセル法廷 / 単独的普遍 / キルケゴール / 社会参加 / 実存主義 / 民主主義 / 言論の自由 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の一環として(2018年8月29日ー30日)、国際学生フォーラム及び、国際シンポジウムを デンマーク、ロスキレ市において以下の通りに主催し、国際的な評価が得られた。2018年8月29日「国際学生フォーラム」の概要:ラッセルが提唱した「民衆法廷」が内外からの様々な妨害活動の中デンマークの古都ロスキレで開催されて50年たったのを機に、当時の「民衆法廷」で何が問われ、何が議論されたのかを再検討し、今日の「民主主義」と「言論の自由」のありかたを考える目的で、ロスキレ大学の学生とともに、研究発表やパネルディスカッションを行い、現地のロスキレ市民新聞の一面において取り上げられた。2018年8月30日「ラッセル法廷50周年記念国際シンポジウム」の概要:1967年11月、バートランド・ラッセル国際戦争犯罪法廷は、バートラン・ラッセルの提唱でジャン=ポール・サルトル、シモーヌ・ド・ボーヴォワール、ウラディーミル・ディディエら知識人及び、日本からの国際判事として森川金寿弁護士らが参加した歴史的な民衆法廷である。この民衆法廷は、当時ベトナムにおけるアメリカの外交政策と軍事介入にたいして有罪の判決を下し、その真実を「沈黙の罪」として全世界に知らしめた歴史的な民衆法廷であるが、この民衆法廷から50年経った今、現代の民主主義のあり方及び「言論の自由」の社会問題を様々な角度から議論する目的で本シンポジウムをロスキレ市の市民ホールにおいて主催した。尚、本シンポジウムの詳細ついてはウェブサイト上において広く公開している。(https://conniesartre.wixsite.com/russell-tribunal)また、本シンポジウムの論文集は2019年6月に刊行される予定である(朝日出版社)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の成果を国内外の研究者および専門家との連携を通じて、国際フォーラムや、国際シンポジウムをデンマークのロスキレで開催した。このシンポジウムは現地の人たちが多数参加して大いに盛り上がった。またメディアに大きく取り上げられるなどしたり、スカイプによる国際的な討議も行われて、一定の国際的な評価を得られたことは、本研究を継続する上でも大変有意義なことであると判断する。また、このシンポジウムで行われた研究発表を中心とした論文集が近日中に日本(朝日出版社)で出る予定である。この研究発表は日本内外のサルトル研究者やキエルケゴール研究者ばかりでなく、社会正義の実現に関心を持つ他分野の研究者や在野の方達の関心を呼んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年夏に行ったデンマークでのシンポジウムをまとめた論文集が近日中に日本で発行されるので、それをもとに神戸大学人文学研究科で読書会を行う予定である。また、2020年2月に神戸大学人文学研究科において、申請したテーマをさらに展開するために国際シンポジウムを行う予定である。本シンポジウムに招聘する予定なのは、ルン大学(スウェーデン)Stefan Karlsen教授、ロスキレ市(デンマーク)の文化担当職員のMarie Berthersen氏、演劇作家PeterBensted氏、 コペンハーゲン大学Jakob Jensen准教授等である。また、神戸大学の教員も招聘する予定である。このような国際的な討議の場を通して、これまでの研究を総合したい。また、このシンポジウムの発表原稿をまとめた雑誌の出版も計画している。電子出版の可能性も探求しつつ、世界的に発信していく予定である。
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Research Products
(7 results)