2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Natural philosophy of Doeblin in his exile period
Project/Area Number |
17K13428
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
時田 郁子 成城大学, 文芸学部, 准教授 (60757657)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自然哲学 / 近代 / 亡命文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
デーブリーンの長編小説『アマゾン』の研究を進め、その成果を論文として発表し、同時代の亡命文学者たちの動向を探り、デーブリーンの初期作品を調査して、デーブリーン文学の核を探った。 一点目に関して、『アマゾン』ではヨーロッパとアメリカの出会いの歴史的展開に、天体観測を通した複数世界の発見のエピソードが織り込まれ、水平方向と垂直方向の異世界との出会いがヨーロッパの近代を始動させたとデーブリーンが考えていることが判明した。 二点目に関して、亡命文学について視野を広げるため、デーブリーンの亡命期の作品と並び、1933-45年のスイス、フランス、アメリカ合衆国における亡命文学者たちの動向と作品を調査した。芸術家たちがスイスの高地に集って、既成の生活からの解放を謳い、日光浴や菜食主義、精神分析による療養などを実践したことは、心と体の関係をテーマに文学活動を開始したデーブリーンにとっても無縁ではない。デーブリーンのスイス滞在は短かったが、彼がアメリカで再会した亡命文学者たちの多くはスイスで生活改善運動に賛同しており、この運動とデーブリーンの自然哲学は連動していると考えた。 三点目に関して、スイスで活動した芸術家の多くはデーブリーンが文学活動を始めた頃の仲間が多いため、彼の初期作品(『王倫の三跳躍』(1916)、『ヴァドツェクの蒸気タービンとの戦い』(1918)、『ヴァレンシュタイン』(1920))に目を向ける必要が出てきて、調査を開始した。 二点目と三点目に関しては今後さらに研究を進めていく。
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Research Products
(1 results)