2019 Fiscal Year Annual Research Report
Nominative-Genitive Conversion and language change in progress: A psycholinguistic study
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17K13438
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Research Institution | Niigata Seiryou University |
Principal Investigator |
新国 佳祐 新潟青陵大学, 福祉心理学部, 助教 (60770500)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 言語変化 / 主格属格交替 / 容認性判断 / 世代間差 / 文理解 / 読書量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、(i)主格属格交替以外の文法現象に関する容認性の世代間差の検討、および (ii)主格属格交替の容認性を規定する話者の世代(年齢)以外の個人差要因の検討を行うべく、複数の実験・調査を実施した。(i)に関する調査では、まず、「高さ(が)5メートルある」のような尺度構文において、主格助詞「が」の削除に対する容認性に世代間差が生じるかどうかを調べた。その結果、主格属格交替の場合とは異なり、「が」の削除有無にかかわらず文の容認性に世代間差は確認されず、主格属格交替文でみられた文容認性の世代間差が言語変化を反映している可能性がさらに高まった。また、「が」削除は関係節内では容認されるが主節内では容認されにくいという興味深い結果が得られた。以上の結果についてまとめた論文は、2020年に出版される図書(論文集)に掲載される予定である。(ii)に関する調査では、読書量の多い個人ほど主格属格交替を容認しやすいという仮説のもと、Author Recognition Test(ART)と呼ばれる客観性の高い読書量推定指標の日本語版を新たに開発し、読書量と主格属格容認性の関係を調べる実験を実施した。その結果、事前の予測通り、読書量の個人差は主格属格交替の容認性と有意に正相関した。以上の結果についてまとめた論文は学術雑誌に投稿し、現在査読を受けている。 研究期間全体を通して、文の容認性の世代間比較を、言語変化の研究方法として確立することができたと考える。言語変化研究はこれまで主として通時コーパスの分析により行われてきたが、本研究は当該領域に新たな方法論を提供した点で重要性が高いと考える。さらに、「属格主語文に与えられる統語構造のサイズの縮小」という新規な観点から言語変化の背後に存在する文法知識の世代間変化を説明するための実証データを多く得た点に、特に大きな学術的意義がある。
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Research Products
(3 results)