2020 Fiscal Year Research-status Report
敬語の習得・加齢変化とその話者属性差に関するマクロ社会言語学的モデルの構築
Project/Area Number |
17K13443
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
柳村 裕 国際医療福祉大学, 国際交流センター, 助教 (50748275)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 敬語 / 敬語教育 / 日本語教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
国立国語研究所が公開している岡崎敬語調査資料における、敬語形式使用数の集計と分析を行った。また、日本語教育分野への応用的研究として、日本語学習者の敬語の使用と知識に関する資料を収集し、集計・分析を行った。前年度までに、敬語形式使用を調べる発話資料と、敬語知識を問う質問調査の資料の収集を終えており、当該年度はこれらの集計と分析を行った。これらに加えて、日本語学習者の語彙力に関する資料を新たに収集した。これは、敬語語彙ではなく、日本語学習者にとって一般的な学習項目となるような語彙全般について、その知識(知っているか、意味が分かるか)を問うものである。これと、すでに収集している敬語語彙の知識に関する資料を比較し、敬語の知識や使用と、一般的な語彙力が関係するかを調べるためのものである。この追加の資料は収集と集計を終え、分析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
代表者の勤務先の変更や新型コロナウィルスの影響などにより、研究が大幅に遅れている。特に、上記理由による他の新たな業務の発生で研究のための時間が減ったことや、話者・研究協力者の確保に困難が生じたことによる。発話資料提供話者については、大学生を主要な対象として対面での協力依頼および調査を想定していたが、当該年度のほぼ全期間で学生生活の大半がオンラインとなったため、これが極めて難しくなった。また、調査協力者候補者の多くは、こうした環境変化への対応に時間を取られていると考えられたために、調査への協力を依頼するのが難しくなった。そして、以上の状況に対応して研究計画をうまく変更・修正できなかったことで、研究は大幅に遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに収集と分析を終えている項目について成果発表を急ぐ。日本語学習者の敬語使用と敬語知識に関する資料は分析が終わっており、学会等での口頭発表に応募する。現在分析を行っている語彙力調査については、データ提示や初期報告の形での成果発表を目指す。 今年度はまず、以上の収集済み資料の集計・分析と、成果の公表を優先して行う。一方で資料の拡大と補充を目的として追加資料の収集も続ける。ただしその方法としては、新型コロナウィルスの影響が今年度中も続くと仮定し、対面・調査出張の形での調査を想定せずに、オンラインでのデータ収集とその分析を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、参加を予定していた学会が中止やオンライン開催となって旅費を使用しなかったためと、調査協力者(話者、学生アルバイト)の確保が困難となってそのための必要経費・謝金を使用しなかったためである。 今年度は、前年度の状況を踏まえて使用計画を修正する。資料収集は、オンラインで収集可能なアンケート調査を主に行い、その謝金とデータ入力・集計費用とする。
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