2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K13444
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
于 一楽 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (80710251)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 項の具現化 / 動作主 / 語彙意味論 / 文法関係 / 意味役割 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、申請者の研究課題「動作主の具現化に関する語彙意味論研究」の2年目に当たり、初年度での基盤研究の成果に対する整理、そして、仮説の検証、理論の構築に重点を置いた。具体的には、初年度で収集した資料や行った研究に基づいて、以下のとおりに計画を遂行した。 まず、中国語の結果複合動詞構文、存現文、双数量構文において、動作主が目的語に現れることや、動詞の項構造には動作主が記載されるにもかかわらずに、実際の構文においては、その動作主が現れることができなくなるという事実は、それぞれの構文が単独の動詞ではなく、複合動詞を形成しているからであるという仮説を立てた。結果複合動詞構文では、前項動詞+後項動詞の形で、存現文では、動詞+アスペクト助詞の形で、そして、双数量構文では、見かけ上は単独の動詞であるが、実質的には、見かけ上の動詞の前に、別の動詞が複合されるという分析を行った。その結果、動作主が主語ではない位置に現れる非典型的な項の具現化は、単独の動詞に別の要素が複合されることで、つまりこの別の要素が引き金となって起こる現象であることを示した。そして、これらの研究成果を一冊の本にまとめた。 そして、前年度に学会発表を行った英語のaccommodation constructionsにおける類似する現象に関して、その研究成果を論文にまとめた。また、国内の学会、研究会ならびに海外(韓国)で開かれた学会に参加し、多くの研究者との意見・情報交換を行うことができた。以上のように、本年度は着実に研究の進展と成果が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の資料収集、整理、先行研究の問題点の検討を踏まえて、仮説の検証、理論の構築に着手することができ、研究成果を著書や論文の形で公開することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度での研究成果のさらなる検証や日本語に関する分析を行い、学会発表、論文などの形で研究成果を公開していく。
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Causes of Carryover |
当初予定していた出張に行くことができなかったことや、本年度に必要な資料購入のための物品費や複写依頼などによって生じるその他の費用に予定額との差が生じたために、次年度使用額が生じた。これらの費用は、次年度の物品費、旅費として計上する。
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Research Products
(3 results)