2022 Fiscal Year Annual Research Report
Standards for Non-usage of -si- in Modern Korean: From Sociolinguistic and Grammatical Perspectives
Project/Area Number |
17K13449
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
金 アラン 上智大学, 言語教育研究センター, 准教授 (90711135)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 尊敬形の不使用 / -si- / 主体敬語 / 韓国語 / 社会言語学 |
Outline of Annual Research Achievements |
韓国語の尊敬形‘-si-’は日本語の尊敬語より使用範囲が広く、丁寧体を使う相手であれば、例えば大学1年生が2年生の先輩に対しても普通に使用する。しかし、丁寧体に常に‘-si-’が共起するわけではなく、一連の会話において‘-si-’が使われたり使われなかったりする。本研究は、韓国語の尊敬形‘-si-’の不使用状況を明らかにすることを目的とし、ドラマシナリオと話し言葉コーパスをデータとして用いたほか、韓国語母語者を対象にアンケート調査も行った。分析の結果、社会的関係や親密度だけでなく、発話内容や文の機能、文法的要素などが総合的に‘-si-’の使用・不使用に影響を与えていることが確認できた。まず発話内容に焦点を当てると、(1)話題に対する補足情報を聞いたり付け加える時、(2)単純に情報を羅列する時、(3)客観的な事実を尋ねたり言及する時、(4)情報量が多い人が少ない人に対して何かを指示したり禁止したりする時、(5)相手に負担度の低い行為を求めたり、自分が受ける恩恵が少ない行為を求めたりする時、(6)相手の言動に対して不満を述べる時、(7)話し手に心理的な余裕や時間的な余裕がない時に一時的に‘-si-’が用いられない場合があった。文法的な面に焦点を当てると、(8)修辞疑問文のように相手に返答を求めない発話、(9)連結語尾で終結する発話、(10)複合動詞における前項動詞、(11)連体形で、‘-si-’の不使用が見られることが確認できた。また、(12)動詞や形容詞より指定詞で‘-si-’の一時的な不使用が多く、(13)動作性が弱い‘issta(いる)’や認知動詞‘alta(知る・分かる)’、可能表現を用いて相手の行動を述べる際にも‘-si-’の不使用が確認された。しかし、談話の開始部や終止部では‘-si-’の不使用はほとんど見られなかった。
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