2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K13450
|
Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
芝垣 亮介 南山大学, 外国語学部, 准教授 (70631860)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 意味論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度の研究の成果として、学会発表2本と論文1本(2019年秋頃刊行予定)をあげる。学会発表は、"Mandarin Resultatives in Syntax-Semantics Interface", Syntax Square, MIT. 2018. Apr. および"The Property of Mandarin Resultatives in Syntax-Semantics Interface", 香港中文大學中国文化研究所, 多泰中國語文研究中心 語言學講座, 2018. Nov.の2本である。類似のテーマであるが、前者ではより理論に重きを置き、後者ではよりデータに重きを置いて発表を行い、各々の発表において貴重なコメントをいただいた。これらのコメントを反映させ、査読付き論文1本、「中国語の結果を表す連動詞の様態について」を2019年秋頃予定、を刊行予定である。これらは当初の研究目的である述語の様態の解明を柱としており、これまでに報告者が研究してきた日本語と英語の述語研究の結果を反映しているものでもある。研究実施計画として、本4カ年で、日本語の述語(1年目)、英語の述語(2年目)、中国語の述語(3年目)、比較検討(4年目)となっているが、予定通り、中国語の述語の研究ができたと考えている。また2018年度の研究結果を踏まえ、中国語の述語に関する新たな疑問点も発見したため、4年目にこのテーマについてさらなる研究を行いたいと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は日本語、英語、中国語の2次述語の研究を柱としている。過去3カ年において各言語における2次述語の研究を行い、成果をあげてきた。その意味において、進捗状況はおおむね順調に進展していると考えられる。ただ、最終年にはそれらの比較検討をする計画であったが、過去3カ年の研究から新たな疑問が2点発生した。1つは日本語の疑問文についてである。これは日本語の述語の研究をする上で、述語に付随する助詞の研究も行い、その時に発生した疑問である。もう一つの疑問は中国語の2次述語についてである。中国語には一項述語を用いた描写述語が存在しないのだが、一般的にSVO言語は一項述語を用いて描写述語を形成する。このことの理論的説明が必要と考えるようになった。よって、4年目には、これまでの結果の比較検討も行うが、上記の2点の理論分析も行いたいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策を2点あげる。1つ目は日本語の疑問部の分析だ。一般的に(Miyagawa, 1987. Yoshida, 2012など)疑問の終助詞と呼ばれる「の」や「か」は似た振る舞いを示すとされているが、報告者は「の」は疑問の終助詞ではないと考え、「か」は何かにライセンスされていなければいけない終助詞であると考えるにいたった。2つ目は、中国語の描写述語の研究を四川省にわたり現地の研究者と共に行う予定である。これは中国に存在するSOV言語の一つであるイ語のデータ収集および理論分析から進めたいと考えている。
|