2019 Fiscal Year Annual Research Report
Semantic and grammatical patterns of effective use of metonymic expressions
Project/Area Number |
17K13451
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小松原 哲太 立命館大学, 言語教育センター, 嘱託講師 (70779636)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 換喩 / メトニミー / レトリック / コーパス / 認知言語学 |
Outline of Annual Research Achievements |
1年目に立ち上げた『日本語レトリックコーパス』の構築プロジェクトの成果として、同コーパスのベータ版を公開した。同コーパスでは、効率的に伝達内容を伝える表現手法である換喩(メトニミー)をはじめとして、収集した多様なレトリックの用例約2500例に、修辞技法のカテゴリー分類、『分類語彙表:増補改訂版データベース』を利用した語彙分類番号、および意味的パターンの分析情報を付与した。これにより、機械的に収集することが難しいレトリックの用例に、誰でも容易にアクセスできるようになった。
同コーパスに収録した換喩の用例と意味分析情報を利用して、日本語の換喩の意味的選好性を調査した。その結果、身体概念によって精神概念を表す強い傾向、談話の文脈において関連性が強い概念が言及される傾向があることを明らかにした。さらに、服装や髪型に言及する換喩では、日本語圏の文化において、ステレオタイプ的なイメージを喚起する服装や髪型が選択される傾向があることが分かった。この成果は、関西学院大学で開催された The 15th International Cognitive Linguistic Conference で報告した。さらに、換喩が、動詞の文法的性質によって選好されることを明らかにした前年の成果を論文にまとめ、査読付き国際ジャーナル Cognitive Linguistic Studies (John Benjamins) から出版した。
本研究は、効果的な換喩表現にかかわる語彙的、文法的メカニズムの一面を明らかにした。同時に、換喩の成立基盤には、談話文脈や文化的背景がかかわることも分かった。このことは、換喩の表現効果の研究に、コミュニケーション学的視点や、言語人類学的視点を取り入れる必要性を示唆している。
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Research Products
(7 results)