2020 Fiscal Year Annual Research Report
An investigation of Datong dialects of Chinese spoken in the Tibetan-inhabited area
Project/Area Number |
17K13452
|
Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
川澄 哲也 松山大学, 経済学部, 教授 (30590252)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 漢語 / 方言 / 言語接触 / チベット語 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である2020年度は、前年度までに収集した漢族・チベット族雑居村(青海省大通県東狭鎮)の漢語方言データについて再度の分析を行い、従来構築を進めていた暫定的な結論に対して必要な修正を加えた。 音声研究の面では、2019年度に施した音素分析により得られた音素数(子音24、母音8)自体に変更はないものの、音声を実現させる際の派生プロセス、或いはそこで必要となる規則について修正を加えた。また声調に関して、表面的には4種類の声調が確認されるものの、基底の声調素としては3種類に集約できる事実を新たに指摘した。これらの点は英語論文にまとめ、学術誌上で発表した。 文法研究の面では主に、VO型離合詞に関する変種間の用法差について考察を進めた。大通方言はOV語順を基本とするが、同じ大通県内でも、「結-婚」のようなVO型離合詞を「婚-結」の如く倒置できる変種と、それを許容しない変種とに分かれる。この違いが生じた要因をめぐって、標準漢語における離合詞研究の成果を取り込んだ新たな解釈を提示した。この解釈については、チベット族村(大通県向化郷)での調査研究が行われ、更なる検討が加えられた段階で成果として発表する予定である。 周知の通り、最終年度はCOVID-19感染拡大の影響を受け、中国に渡航することが不可能な状況となった。その結果、上述した離合詞の用法差調査のように、研究が最終局面まで達していない部分も一部に残った。これらの点については、今後実地調査の再開が可能となり次第、できる限り速やかに補完したい。
|
Research Products
(1 results)