2017 Fiscal Year Research-status Report
An empirical and qualitative study of the combinatory patterns in Japanese lexical compoud verbs
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17K13456
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
陳 奕廷 三重大学, 教養教育機構, 特任講師(教育担当) (40781224)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 複合動詞 / フレーム意味論 / コーパス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は第一に、動詞の関連事象が意味構造に含まれていることを証明することである。そして、このような関連事象は無制限にどんな情報でも含まれるというわけではなく、動詞によって異なることを示す。平成29年度においては、この主張を証明するためのアンケート調査のパイロット調査を実施した。パイロット調査の結果から、より具体的な例文を設ける必要がある、そして、解答の具体例の提示が必要であることがわかり、実施するアンケート調査の内容を変更した。そのため、1つ目のアンケート調査の実施については来年度に行う予定である。 また、平成29年度では、本来31年度に予定していた計量的な調査を実施した。この調査はコーパスのデータに基づき、複合動詞になれない動詞を明らかにしたものである。調査の結果、複合動詞の構成要素になれない場合はいくつかの異なる理由に分けられる。まずはその動詞自体あまり使われない場合で、例えば「絶やす」「燻る」「語らう」などは元々の頻度が高くなく、それゆえにV1にもV2にもなれず、複合動詞を作ることができないと思われる。また、複合動詞の意味関係に必要な概念的な空きスロットを持たない場合も複合動詞を作ることができない。例えば「生きる」「生まれる」「伸びる」「言う」「書く」「買う」はV2になれないが、「生きる」「生まれる」「伸びる」はそれを引き起こしうる原因やその動作を行う際の様態を持たない。「言う」「書く」「買う」はそれを達成するための手段をもたない。また、「降る」「喋る」「握る」などのように、様態という空きスロットがあったとしても、その概念が単純動詞で表すことのできないもの(「ザーザー」、「ペラペラ」、「ぎゅっと」など)の場合は複合動詞の構成要素になれない。動詞のタイプとしては「騙す」「脅す」「慰める」などの心理的状態の使役変化を表す動詞は複合動詞のV2になれないことが実証された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンケート調査に関しては今年度中に実施することができなかったが、パイロット調査により課題を解決することができた。また、アンケート調査の代わりに、平成31年度行う予定だった計量的な研究を前倒しで実施したため、おおむね順調に研究が進展しているといえる。本研究の成果が一部含まれている書籍(陳奕廷・松本曜『日本語語彙的複合動詞の意味と体系』ひつじ書房)も平成30年2月に発行され、論文の投稿も1本準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は前半において、29年度に実施できなかったアンケート調査を実施する。本来予定していたもう1つのアンケート調査と計量的調査は30年度の後半に行う。平成31年度では、予定していた2つの計量的調査のうち、既に1つを前倒しで実施したため、残された1つの計量的調査を実施するとともに、論文投稿と学会発表を行う。
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Research Products
(3 results)