2017 Fiscal Year Research-status Report
Welfare linguistic study on the influence of Japanese loanwords in Micronesia
Project/Area Number |
17K13461
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
今村 圭介 東京医科歯科大学, 教養部, 助教 (00732679)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 日本語借用語 / パラオ語 / 福祉言語学 / 辞書作成 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度はまず、29年6月にPacific Islands Bilingual Bicultural Association(PIBBA)の研究大会にて、本プロジェクトについて発表をし、ミクロネシア諸言語の教育者や研究者からのフィードバックを得た。また、30年3月にポナペとパラオにおいて借用語の収集、使用調査を行った。またパラオにおいて、借用語の受容の歴史に関する一次資料を収集すると同時に、Palau Language CommissionのJonathan Masaichiとプロジェクトとの進行に関する会議を行った。また借用語辞書のための具体名詞の写真撮影を行った。さらに、Masaharu Tmodrangにパラオ語での用法を詳細に記述するために、収集した借用語の内、意味用法の記述が必要な語の例文作成を依頼した。現在、例文の作成は全て完了しており、英語への翻訳をJonathan Masaichiにお願いしているところである。またパラオ語における日本語借用語を現地に役立てる方法に関して、韓国日本語学会にて「言語接触史を言語教育に応用する試みーパラオ語の日本語起源借用語ブックレット作成ー」という題で、発表を行った。さらにミクロネシアにおける言語と文化の教育に関する出版を担う、Island Research and Education Initiative (I.R.E.I)のDanko Taberosiと連絡をとり、辞書の作成に関しての協力について議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、本年度は上述の通り、パラオ語における日本語借用語の意味用法の記述のために、例文が必要な語全ての例文作成と、具体名詞の写真撮影をほぼ完成することができた。また、IREIとの協力体制を築くことができた。この点は計画当初は協力を得るのにより長い時間を要すると予想していたため、計画以上に進展している。 しかし、パラオ語教育者との議論を、上述のPIBBAにて行う予定であったが、先方の参加が都合によりキャンセルになったため、行うことができなかった。同時に、3月の滞在時も議論の機会を得ることができなった。この点ではプロジェクトは遅れているが、総合的に見て、概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
30年度は、29年度に達成できなかった、パラオ語教育関係者との議論をすることが急務である。すでに8月にパラオにおいて、議論の場を設定してもらうように、Jonathan Masaichiにお願いしている。その場で辞書作成の計画についてフィードバックを得て、教育的資料としての活用が可能となるような辞書の作成を進めて行く。同時に、パラオ語における例文の英語翻訳を研究協力者に終わらせてもらい、そこから日本語訳の作成を進める。同時に、意味用法の詳細な記述を進めるために、その他の用法がないかを細かく調べ、辞書に情報を追加していく。その上で、動詞・抽象名詞に関して、パラオ語の類義語との意味範疇の異なりを記述し、日本語がパラオ語にもたらした変化を記述していく。
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