2018 Fiscal Year Research-status Report
日本語諸方言の記録・保存に向けた甑島里方言のテキスト・辞書の作成
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17K13468
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
平塚 雄亮 中京大学, 文学部, 講師 (70757822)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 方言辞書 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の主な活動としては,甑島里方言の辞書作成のためのフィールドワーク1回,方言辞書研究会(仮称)の開催2回である。フィールドワークは2019年2月に2日間かけて行い,辞書作成のため約100語の語彙収集を行った。方言辞書研究会は,平塚および原田走一郎准教授(長崎大学)と共同で今年度新規に立ち上げた研究会である。平塚同様,原田氏も科研費で方言辞書の作成を行っている研究者であるが,平塚が日本語方言,原田氏が琉球語方言をフィールドとしていることから,研究会自体も両言語の研究者が集い議論を交わせる場となっている。これまでに2018年10月,2019年3月の2回国立国語研究所で研究会を開催しており,方言辞書に携わる各地の研究者が報告を行い,議論を交わしている。これは本研究の研究計画にある「全国諸方言の方言辞書作成を活性化させる」という目的に適っており,2019年度以降も継続しての開催を計画している。関連して,2019年2月に関西大学で開催された「甑島方言研究会」において,本研究の進捗状況等の報告を行った。研究期間の2年目としては中間報告的な意味があり,またそれを他の研究者に知らせるいい機会となった。なお,2019年2月刊行の日本語学のテキスト『基礎日本語学』(ひつじ書房)には方言辞書作成の意義について記し,同じく2月刊行の『鹿児島県甑島方言からみる文法の諸相』(くろしお出版)には甑島方言,特に里方言の危機度の高さなどについての論文を掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度に引き続き,今年度もフィールドワークが1回しか行えなかったことで,語彙収集がやや遅れていると言える。一方,方言辞書研究会は2回行えたことで,方言辞書作成の分野を活性化させたと言え,研究目的の達成の観点からは満足できるものであった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度にあたるため,できる限り多くの語彙を集める必要がある。そのため,今年度はフィールドワークを2回実施するか,1回の滞在を長くする予定である。また,データ入力および研究成果報告作成の効率化を図るため,学生のアルバイトを1名雇うことを計画している。方言辞書研究会は,昨年度に続き2回の開催を予定している。また,他の研究者と共同で,甑島で住民向けのシンポジウムの開催も計画しており,研究者だけではなく一般向けにも研究成果を還元させようとしている。
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Causes of Carryover |
2019年2月にハワイ大学で行われた危機言語に関する国際会議に出席しようとしたところ,参加者の過多によりエントリーできず旅費が執行できなかった。この繰り越した旅費で,今年度は2020年2月にシンガポールで行われる国際会議に出席したい。
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Research Products
(2 results)