2019 Fiscal Year Annual Research Report
Developing word lists of highly endangered dialects of Yaeyama Ryukyuan with sound examples and sample sentences
Project/Area Number |
17K13470
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
原田 走一郎 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (00796427)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 危機方言 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、1.語彙データ収集と2.学会発表を行った。 1. 引き続き、語彙データの収集を現地調査に基づき行った。黒島方言に関しては、通算で700ほどの語が得られた。これらのほぼすべてに例文と音声がついている。本研究課題の途中から開始した、八重山語の近隣方言である水納島方言に関しては約200語を調査したが、例文がないもの、音声の公開許可が得られなかったものも多い。 2. 日本方言研究会第108回研究発表会において研究発表を行った。本発表では、以下のことを述べた。 (1)一つの形容詞語根から二種類の形容詞が派生される。(2)“二つ目”の形容詞は比較の際に用いられる。 具体的には、たとえばtakaという形容詞語根であればこれからはtakahata(「高かった」)・takahariba(「高いから」)とtakakuta(「高かった」)・takakuriba(「高いから」)という二つの形容詞が派生されるということ、また、このうちtakakutaのほうは「より高かった」という意味で用いられる、ということを示した。この二つの形容詞のかたちは、わずかな例外を除いてほぼ同じ活用を示し、また、統語的にもほぼ同じふるまいを示すことがわかった。このようなことは先行研究では指摘されていない。また、琉球諸語を見渡してみてもこのような現象はこれまでに報告されておらず、重要な報告と言える。一方、kuという要素を持つ形容詞は琉球諸語に存在するとの報告は以前からあるが、その分布について、新たな知見を示した。 また、これまでの調査によって黒島方言の動詞、形容詞の活用体系の全容が明らかになった。さらに、黒島で用いられている伝統方言に強い影響を受けた標準語の「が」との対照をとおして、伝統的な黒島方言における係助詞「du」の特徴の一端を示した。標準語から受けた影響も考慮することで、標準語の「が」に関する考察も行った。
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Research Products
(1 results)