2017 Fiscal Year Research-status Report
動名詞節の構造と主語内部からの抜き出しに関する研究
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17K13472
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
菅野 悟 東京理科大学, 理学部第二部教養, 准教授 (80583476)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 英語学 / 統語論 / 生成文法 / 極小主義 / 主語 / 抜き出し |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、動名詞節が主語の位置に生起した場合の特性、特に、抜き出しに関わる特性を解明することを目的とする。本研究は計3年の研究であり、当該年度は1年度目の研究年度となる。以下、先行研究の問題点を指摘しつつ、初年度の研究成果をまとめる。 従来、主語からの抜き出しが不可能であると報告されてきたが、この先行研究に対する反例が存在することはインフォーマント調査から得られている。つまり、動名詞が主語位置に存在する場合、関連する要因として(i)wh 句の談話連結性、(ii)埋め込みの有無である。これらの言語事実に対し、極小主義理論の中でも、最も最新の枠組みであるラベル理論の観点から説明を与えることを試みた。この研究成果は、「主語の特性とラベル理論」(北海道理論言語学研究会第10回大会、北見工業大学)として発表されている。 また、生成文法の大きな目標として、記述的妥当性と説明的妥当性を満たすことが挙げらえる。近年のラベル理論においては、説明的妥当性に大きな焦点が当てられ、主語からの抜き出しの現象に焦点を絞れば、記述的妥当性が考慮されていない可能性が考えられる。この不釣り合いを指摘し、かつ、克服することが出来ることを示した。この研究成果は、「生成文法における妥当性とその帰結」(日本英文学会北海道支部道北東ブロックイベント・一般講演会、北海道教育大学旭川校)として報告されている。 3か年にわたる研究成果の初年度として、以上の研究成果が挙げられる。これらの研究成果は今後の研究のための土台となるものであり、また、有益なものであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初設定した研究計画におおむね沿って研究が進んでいる。特に、初年度の研究をまとめたものを学会発表へ投稿しており、今、審査中の段階である。予定通り、いくつかの学会での発表が期待されるため、おおむね順調に進展していると言える。 また、このまま、研究を進めることにより、当初予定していた成果を達成することが出来ると予測される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として、初年度の研究を他の領域に適用することが挙げられる。初年度では、主語内部からの抜出に焦点を当てた。この主語が生起する領域は、一般的にCP領域と呼ばれる。この領域に生起する項(すなわち、主語)に対する特性がおおむね把握できたことにより、この研究成果をvP領域へ応用することが挙げられる。もし、現在の研究が適切なものであれば、vP領域に対しても妥当であることになる。また、妥当でない場合、理論の修正が必要である、そのような修正を行うことにより、より良い研究となることが期待される。
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