2018 Fiscal Year Research-status Report
初級・中級日本語クラスでの「文化を訳す活動」の実践研究
Project/Area Number |
17K13486
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Research Institution | Akita International University |
Principal Investigator |
行木 瑛子 国際教養大学, 国際教養学部, 助教 (40781208)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 翻訳活動 / 日本語教育 / 文化 / 複言語・複文化能力 / 文化を訳す活動 / 初級 / 中級 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「文化を訳す活動」という新しい形の翻訳活動を大学で日本語を学ぶ初級・中級学習者に実施し、その学習成果を明らかにすることを目的とする実践研究である。2018年度は、主に(1)日本の大学での実践授業の実施データの整理・分析、(2)分析結果の発表・出版、(3)収録済みの英国の大学のデータに関する発表・出版を行った。
(1)日本の大学での実践授業の実施データの整理・分析:2017年度に収集したデータの整理、文字化、分析方法の検討、コーディング作業を行った(現在も継続中)。2018年度は、主に実践授業後に行ったインタビューデータと、初級・中級で各5回行った授業のうち、3クラスのデータの分析を進めた。 (2)分析結果の発表・出版:(1)の分析結果に基づき、学会発表・論文執筆を行った。具外的には、(a) 日本の大学で学生の多様な母語を使った翻訳活動をすることに対する学生の評価、(b) 翻訳活動を通した初級クラスでのクリティカル・リテラシーの可能性、(c) 初級クラスで行ったオノマトペの入った広告の翻訳活動からの学び、(d) 中級クラスでのマンガの翻訳活動からの学びについて学会で発表した。現在、学会発表に基づき、論文を執筆中である。 (3)収録済みの英国の大学のデータに関する発表・出版:前年度に引き続き、今回のデータとの比較対象となる、過去に英国の大学で収集したデータについて分析を進め、学会発表・論文執筆を行った。具体的には、(a) 初級での「文化を訳す」活動を通した文化教育について論文にまとめ、出版したほか、(b) 翻訳活動でのクラスディスカッションの役割について学会発表した。このクラスディスカッションの役割については現在、論文執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は主にデータの整理・分析と、学会発表・論文執筆を行うことを主な目的としていた。データの量が膨大なため、すべては整理・分析しきれていないものの、概ね予定通りに重要なデータの整理・分析と学会発表・論文執筆を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、引き続き、(1)データの整理・分析、そして(2)それに基づく学会発表・論文執筆に充てるものとする。また、(3)通常の授業で翻訳活動を導入するための授業の計画・教材開発も行う。 具体的には、文字化作業を進め、引き続きデータ整理し、分析を進める予定である。さらに、昨年度学会発表した結果をもとに、査読付きの学術誌にも研究成果を投稿していく予定である。また、引き続き収録済みの英国のデータについても論文執筆を継続する。さらに、この結果を活用するため、通常の授業でも翻訳活動の導入を検討・実施する予定である。また、教材開発についてはどういう形で行うのが効果的か検討する予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた文字化作業を外注せずに自分で行ったため、謝金が予定よりも少なくなった。ただ、学会発表のために必要な旅費が当初計画を上回っているため、次年度使用額は、旅費の一部として使用する。
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