2022 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the process of support participation of mother tongue supporters in subject learning support
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17K13487
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
高梨 宏子 東海大学, スチューデントアチーブメントセンター, 講師 (90748542)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地域の母語支援者 / 教科学習支援 / 外国人児童生徒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、外国人児童生徒の教育において母語保持育成・教科学習の遅れなどの課題にこたえるべく外国人児童生徒の母語を活用した教科学習支援に注目する。教科学習支援では学校内の国際教室で実施されており、母語を活用した教科学習支援を行う場合、外国人児童生徒の母語ができる外国人住民である「地域の母語支援者」の参加が不可欠である。外国人児童生徒の学習をより充実させていくためには、かれらの学習支援への参加が重要と考え、本研究では、地域の母語支援者の参加過程を明らかにすることを目的とし、かれらへのインタビュー調査およびフィールド調査を実施した。具体的には、(1)地域の母語支援者としての教科学習支援への参加過程、(2)学校教員はどのようにかれらを受け入れていくのか、の2点について分析した。 (1)地域の母語支援者としての教科学習支援への参加過程では、4名の地域の母語支援者に対して行った半構造化インタビューデータを質的に分析した。地域の母語支援者として支援活動に参加する過程で、自己への気づきや教育観の変容が生じ、自己の可能性を認識し、成長していくプロセスがあることがわかった。また、子どもやその親を含めた支援の捉え方が多様化していることも示唆された。 (2)学校教員はどのようにかれらを受け入れていくのかでは、国際教室担当教員に注目した。地域の母語支援者らの受け入れの窓口となるのは、国際教室担当教員である。母語支援者の支援に対して肯定的な意識を持ち、受け入れていた。外国人児童生徒が母語を使うことによって学習意欲が促進されたり、ハードルが高い学習に挑戦することができるという外国人児童生徒の学習成果が裏付けとしてあった。ただし、日本の学校文化と異なる文化的背景を持つ母語支援者には、学異文化理解が促進されるよう配慮をしており、こうした支えが受け入れ・支援サポートを促していった要因であると考えられた。
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