2017 Fiscal Year Research-status Report
敬語コミュニケーションの成功経験と失敗経験は敬語学習の向き合い方にどう影響するか
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17K13489
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
徳間 晴美 早稲田大学, 日本語教育研究センター, 講師(任期付) (20598768)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 敬語学習への向き合い方 / 成功経験 / 失敗経験 / 中級日本語学習者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、中級学習者に対する質問紙調査およびインタビュー調査を実施し、文字化データの質的分析と考察を行った。質問紙調査では、学習者の敬語学習とその必要性に対する認識、敬語コミュニケーションにおける成功経験および失敗経験を捉えるための質問紙調査を行い、その学習者のうち、成功経験および失敗経験の両方がある学習者を対象としてインタビュー調査を実施した。 本年度分析したデータからは、質問紙調査により、中級学習者は、敬語学習についてその必要性を高く認識しており、その理由として、就職活動や仕事上のコミュニケーションにおいて敬語が必要となること、また、生活の中でも初対面の人や目上の人とのコミュニケーションにおいて敬語が必要だと感じていることがわかった。企業等へのインターンシップの経験を通して敬語の大切さを実感した学習者もおり、今後の敬語学習に対する意欲も全体として高かった。また、成功経験および失敗経験についてのインタビュー調査からは、次のようなことが考察された。第一に、敬語学習意欲については、今あるいは近々敬語使用が求められる場面に直面するか否かに左右されていること。第二に、成功経験と失敗経験がそれぞれ独立している場合、前者は他者から認められる喜びを、後者は挫折感や不快感を味わい、それが自身の敬語使用の程度の調整や、学習すべき程度の見極めに影響を及ぼしていること。第三に、成功経験に至る過程において同様の場面で失敗経験を経ている場合には、悲しい思いや心配、コミュニケーションで困った経験が敬語学習の継続の動機づけとして働いていること。最後に、成功経験を超えるものとして、日本語を愛しているという強い思いや、日本語を超えて、人としてのアカデミックバックグラウンドを重視する見方を持つ場合には、継続的に敬語学習に向き合う姿勢が窺えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が2017年4月より約4か月間休職したため、研究活動が遅れている。調査開始時期が遅れたことなどに対して、対応できる方法を用いて研究活動が継続できるよう、現在進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」欄に記載したとおり、平成29年度のはじめの4か月間研究活動が全く行えなかったこと、および、現在も通院中の状況であるため、当初の計画より、やや規模を縮小しての研究となる可能性があるが、収集できたデータを基に分析を進め、研究目的を達成できるような成果を出したいと考える。
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Causes of Carryover |
2017年度のはじめの4か月間、休職したため研究活動が行えなかったこと、また、復職後も通院しながらであったことにより、計画通りに研究活動が進められない部分があった。平成30年度は本研究の成果を出すためにも、昨年度実施できなかった調査を補いながら、分析と考察を進め、成果発表を行いたいと考える。
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