2017 Fiscal Year Research-status Report
累積的な英語語彙習得における文脈プライミング現象の解明
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17K13496
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
長谷川 佑介 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 講師 (40758538)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 英語教育 / 語彙習得 / 意図的語彙学習 / プライミング効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
外国語習得の重要な側面のひとつである語彙学習に関して、本研究では語彙知識が段階的に発達する過程において文脈的インプットがどのような効果を持つのかを検証している。本研究で特に注目するのは、語彙学習の際に読んだ例文の情報を再度提示するとその語彙の記憶が心内で活性化するという現象(以下、文脈プライミング現象)である。本研究に先駆けて2015~2016年度に実施した予備的調査(研究活動スタート支援)では、学習者に馴染みのない低頻度語を覚えてもらう活動(意図的語彙学習)の後で語彙性判断課題と呼ばれる課題を実施するという手法で実験を行い、文脈プライミング現象を観察した。4年間の研究計画の1年目にあたる本年度は、予備的調査の結果を踏まえて実験材料を改良し、学習者の英語熟達度に適した素材を用いた実験が実施できるように準備を進めた。また、今後の研究で英語熟達度の指標として用いる予定のテストを日本の英語学習者を対象に実施し、テストの信頼性および妥当性を検証した。ここで得られたデータをもとに改良したテストを次年度に使用する予定である。以上のことに加えて、初級英語学習者を対象として意図的語彙学習と文脈的インプットを組み合わせた指導を実際に行い、多様な文脈の中で語彙に繰り返し触れることで知識がどのように深まっていくかを観察することにも着手した。今後は、本年度に準備した実験材料等を用いて意図的語彙学習と語彙性判断課題の実験を行い、文脈プライミング現象の特徴やその現象が観察される条件を明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4年間の研究計画の1年目として、今後の研究実施に必要な準備を進めることができたため。まず、英語熟達度テストの作成と妥当性検証に関しては計画通りの進捗状況である。語彙性判断課題の実験材料の作成については当初の計画よりはやや遅れている一方、英語学習者に対して文脈的インプットを繰り返し与える指導の効果については、当初の計画以上に検証を進めることができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、意図的語彙学習と語彙性判断課題を組み合わせた実証研究を継続するほか、文脈プライミング現象と英語熟達度との関連性についても検証していく予定である。また、本年度に得られた研究成果の一部について、早ければ次年度に公表できるように準備を進める。
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Causes of Carryover |
本年度に購入した物品の中に、当初に予想していたよりも安価で手に入れられたものがあったため。また、学会参加のための旅費の一部に変更が生じたため。上記金額は、次年度に最新の文献を収集したり、本年度の研究成果を次年度の学会および学術誌において発表したりするために使用する予定である。
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