2018 Fiscal Year Research-status Report
英文読解効率の妥当性の評価と速読指導への実践的応用
Project/Area Number |
17K13506
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
田中 菜採 山口県立大学, 国際文化学部, 講師 (80795005)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 英語教育 / リーディング / 流暢さ / 読解効率 / 速読指導 / スキャニング / スキミング / 語彙カバー率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,これまで読みの流暢さの指標として用いられてきた読解効率の妥当性を速読に応用して検証し、読解効率を向上させる速読指導へ示唆を与えることを目的としている。 1年目では、スキャニング (探し読み; 特定の情報を探す活動) やスキミング (大意把握読み; 素早く英文の大意を読み取る活動) など速読における読解効率の妥当性を検証した。 2年目の研究課題は、日本人英語学習者の読解熟達度の一要因である、読みの流暢さを焦点として、読解効率 (読解速度と正確さを組み合わせた、読みの流暢さの指標の1つ) ・英文読解熟達度・英文の特徴を検証するため、以下の調査を実施した。 一般的な読解では、読み手が英文中の95~98%程度の語彙を知っていれば十分な理解が得られる (Nation, 2011)。一方で熟達した読み手は、必ずしもすべての単語を理解するのではなく、読解の目的に合わせて速度を調整している。速読では読むべき情報が限定されているため、未知語が多くても、課題を完遂できる可能性もある。そこで、本研究では、英文中の未知語の割合 (語彙カバー率) について、スキャニングやスキミング等の速度を求められる読解活動に焦点を当てて検証した。調査では、英文中の単語を読み手が分からないものに置き換えることで、意図的に語彙カバー率の高い英文と低い英文を作成した。熟達度の異なる日本人EFL大学生がこれらの英文をスキャニング・スキミング課題で読解した。この際の課題の正答率と読解効率を分析した結果、おおまかには、語彙カバー率の低い英文でも速読課題に必要な正確さは維持できていた。ただし、読解効率に着目すると、スキャニング課題はその性質上、語彙カバー率が低いほど読解効率が上がるという通常読解とは逆の結果が得られた。今後は、その原因を検証するとともに、3年目の計画である、速読指導への応用を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究課題である「読解効率・英文読解熟達度・英文の特徴との関連の検証」について,語彙カバー率を焦点に調査を実施することができた。研究成果については,平成30年度に実施された全国英語教育学会にて既に発表済みで、今後査読付論文に投稿する準備を進めている。また、1年目に生じた新たな課題についても調査を実施し、EuroSLAにて発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では今後は1, 2年目の研究成果をもとに、3年目の研究計画に着手し、研究結果を速読指導に応用する。英文の提示時間を制限することで、速読が促進されるかを検証する。さらに、2年目で得られた結果を補足するため、質的な検証を試みる。
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Causes of Carryover |
2年目の研究実施中に生じた疑問点を解明するため、高額の実験機器を購入する必要があるが、次年度の使用額のみでは不足するため、使用額を変更し、2019年度に実験機器の購入を予定している。
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[Book] CLIL in action: Content and language integrated learning in intercultural studies2019
Author(s)
Iwano, M., Nishida, K., Tanaka, N., Swanson, M., Senneck, A., & Green, M.
Total Pages
78
Publisher
Yamaguchi Prefectural University