2022 Fiscal Year Annual Research Report
A theoretical and empirical study of the relationship between the effectiveness of explicit instruction and learners' metalinguistic competence
Project/Area Number |
17K13514
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
大滝 宏一 中京大学, 国際学部, 准教授 (50616042)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 明示的指導 / メタ言語能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
英語教育がコミュニケーション重視に転換して以来,文法事項を明示的に教えることは軽視される傾向にあるが,そのような英語教育が成果をあげているのかを科学的に検証した研究・データは極めて少なく,数少ない実証的な研究である斉田(2014)では,高校入学時の英語学力が1995年からの14年間に偏差値換算で7.4ポイントも低下していると報告されている。従って、このままコミュニケーション重視の英語教育を続けるのか、明示的指導による文法教育の重要性を見直すのかを科学的・客観的視座から検討することは、英語教育において重要な課題である。本研究課題では,明示的な指導がなければ習得することが難しいと考えられる文法項目に焦点を当て,明示的指導を行った際の効果に関して実験を行って検証した。また,言語自体を思考の対象として扱う能力である「メタ言語能力」と明示的指導との関係を確かめることも試みた。
本研究課題で取り上げた文法項目は,主語卓越性,目的語省略,間接受身の過剰生成,be動詞の過剰生成の4つである。これらの文法項目を習得するためには,ある形式は英語において非文法的であるという否定証拠が必要となる。通常,否定証拠は明示的な指導を通じて学習者に与えられるものであるため,肯定証拠のみを頻繁に与えることを重視する教育では獲得することが困難な文法項目であると考えられる。
実験では,学習者に明示的指導を与える明示的指導グループと,肯定証拠のみを与える暗示的指導グループにおいて,指導の前後で達成度に差が生じるのかを検証した。その結果,どの文法項目に関しても明示的指導の効果が観察された。一方で,メタ言語能力と明示的指導の効果との間には相関は観察されなかった。これらの結果は,明示的指導の効果を示す一方で,メタ言語能力が明示的指導の効果にどの程度影響を与えるのかについてはさらなる検証が必要であることを示唆している。
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