2019 Fiscal Year Research-status Report
足利義満期武家政治史の研究 ―義満の権力確立過程の再検討を中心に―
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17K13526
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀川 康史 東京大学, 史料編纂所, 助教 (80760280)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 足利義満 / 室町幕府 / 遠国 / 応永の乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)今年度は視野を東国にまで広げ、室町幕府と「遠国」(日本列島周縁部)の関係という観点から足利義満期政治史の再検討を行った。その結果、(a)従来指摘されてきた室町幕府と「遠国」の緊張関係、あるいは「遠国」が室町幕府の制御下からますます離脱していく動きは、これまで室町幕府権力の確立期・最盛期と評価されてきた足利義満期に遡ることができ、(b)応永の乱は南北朝内乱期以来の「遠国」の離脱動向を最終的に決定づけた政治的事件として位置づけ直すことができるとの見通しを得ることができた。以上の研究成果については、アメリカ・プリンストン大学で開催されたワークショップ「New Trends in the Study of Medieval Japanese Documents」(2019年7月)において口頭報告を行った。また、2020年3月には Association of Asian Studies のアメリカ・ボストン大会において、その後の知見も踏まえて口頭報告を行う予定であったが、COVID-19の影響により中止となった。 (2)2019年度に進めた応永の乱に関する研究を論文としてまとめ、現在審査中である。 (3)本研究の一環として京都吉田社の神官吉田兼敦の日記の翻刻・研究を進めているが、2020年2月にドイツ・ハンブルグ大学で開催されたワークショップ「By one’s own hand--for one’s own use」においてその成果の一部を披露した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は研究成果を論文のかたちで発表するまでには至らなかったものの、足利義満期武家政治史の再検討という本研究の課題を達成するうえで重要な見通しを得ることができ、その一部は口頭報告のかたちで発表することができた。以上のことからおおむね順調に進行していると判断した。ただし、研究代表者は2019年9月から在外研究を行っているため、当該期間は本研究を中断している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は(1)に記した見通しをもとに、室町幕府と「遠国」の関係という観点から足利義満期武家政治史の再検討を更に進める。ただし前述した理由から、本研究課題の再開は2020年9月の帰国後を予定している。
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Causes of Carryover |
2019年9月から2020年8月までの1年間在外研究を行っており、研究課題の遂行を中断したため、次年度使用額が生じている。
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