2018 Fiscal Year Research-status Report
近現代沖縄における経済開発の歴史学的検討―観光業の主要産業化過程を中心に―
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17K13530
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
櫻澤 誠 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (90531666)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 日本史 / 沖縄 / 経済開発 / 観光業 / 相互認識 / 琉球政府 / 米国民政府 / 日本政府 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、近現代沖縄における観光業の主要産業化過程について、先行研究によって示された「沖縄イメージ」論にとどまらない形で、経済開発全体との関連を重視して歴史学的実証に基づき検討することである。2年目となる今年度は、初年度と同様、広範な史資料収集を行うとともに、申請時に設定した時期区分に基づき、「1930~40年代前半の模索期」についての検討を行った。 広範な史資料収集としては、沖縄県公文書館、沖縄県立図書館、琉球大学附属図書館、国立国会図書館などにおいて、研究課題に関する文献・文書等の収集に努めた。また、米国・ハワイ大学マノア校のハミルトン図書館・シンクレア図書館などでの調査を行った。 雑誌論文としては、日本復帰(施政権返還)以降の観光業についても扱った、「戦後沖縄政治史の再検討―西銘県政期の歴史的位置をめぐって―」(『歴史科学』233、2018年5月)、「1930~40年代前半の模索期」を中心として、沖縄で観光業が産業として位置づけられる以前の状況について扱った、「戦前期の沖縄観光について―産業化への模索―」(『日本思想史研究会会報』35、2019年1月)をそれぞれ発表した。 図書としては、沖縄戦後史の重要な転換点となった「1995年」について扱ったものとして、共著『戦後社会運動史論③―軍事大国化と新自由主義の時代の社会運動―』(広川禎秀・山田敬男編、大月書店、2018年12月)に「沖縄・島ぐるみ運動の復活―「1995年」はどう準備されたか―」を収録し刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、前年度と同様、史資料収集に力を注ぐとともに、申請時に設定した時期区分に基づき、「1930~40年代前半の模索期」についての検討を進めることができた。 そうしたなかで、史資料収集については、沖縄、東京においてそれぞれ複数回調査を行い、さらに米国(ハワイ州)にて調査を実施するなど、一層進展させることができた。 成果としても、2件の論文発表、1件の図書刊行を行うことができた。一層充実した成果を達成していく必要はあろうが、一定の水準は満たすことができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
史資料収集については、前年度までと同様、沖縄、東京での調査を中心に行っていく予定である。聞き取りについても対象者を検討し進めていく。 個別テーマとしては、「1960~70年代の主要産業化期」について、さらに検討を行う。そして、本科研のこれまでの成果をふまえて、一書としてまとめるための準備を進める。 また、研究の進展に応じて、各種団体の調査対象や聞き取り対象を広げたり、個人所蔵史料の調査を追加実施することなどによって、収集史料を充実させ、改善を図っていく。 さらには、研究を停滞させずに円滑に進めるための新たなアイディアを得られるよう、学会・研究会には積極的に参加し、沖縄を専門とする研究者だけでなく、関連諸分野の研究者と意見・情報交換を積極的に行っていく。
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