2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K13535
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
山本 英貴 帝京大学, 文学部, 准教授 (90711101)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 幕藩関係 / 徳川家斉 / 水野忠成 / 御用頼 / 毛利家 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も昨年度に引き続き、山口県文書館で写真撮影した古文書の内容を、研究協力者とともに活字化する作業を進めた。その結果、長府毛利家と清末毛利家が両敬をめぐって争う一件史料、長府毛利家が萩毛利家に対して官位昇進や行列道具の所持などの願い出について、幕府へ取り持つように依頼する一件史料の活字化については校正を含めて完了した。さらに、写真撮影した古文書の目録も作成した。 次に、萩毛利家は長府毛利家の願い出を幕府に取り次ぐ際、奥右筆などの幕府役人に幕府へ提出する願書の添削を依頼していた。研究史上、幕府役人が願書の添削を行っていたことについては指摘されているものの、なぜ奥右筆が添削をしていたのか、その理由を明らかにするために、奥右筆の職掌について分析を開始した。具体的には、『徳川実紀』など刊行されている史料から奥右筆に関する記事を採録している。 また、幕府と藩(大名家)との関係を明らかにするために、今年度は、徳山毛利家が萩毛利家を介して幕府に城主格の格式を願い出る一件史料などについても分析を進めた。 最後に、今年度は8月と10月の2度、山口県文書館に赴いた。山口県文書館では、活字化にあたり写真では判読困難な箇所を確認するとともに、長府・清末の両毛利家はなにゆえ争うようになったのか、その理由を探るために、寛政年間から始まった「清末取鎮一件」と呼ばれる事件の関係史料を写真撮影した。この史料は大部であり、来年度も継続して写真撮影する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長府毛利家が萩毛利家に、官位昇進など幕府への願い出を取り持つように依頼する一件史料について、その活字化と校正を完了させた。これにより、研究成果を論文という形で公表していく環境を整えることができたからである。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は最終年度ということもあり、これまで活字化してきた史料の分析を進め、その成果を論文にまとめて公表していきたい。また、活字化した史料をどのような形で公開していくか、その方法についてもあわせて検討していきたい。
|
Causes of Carryover |
昨年度、助成金での購入を予定していた書籍の大半を、所属先の図書費や研究費で購入することができ、結果として多額の次年度使用額を生じさせてしまった。今年度は当初の計画通り助成金を使い切ることができ、昨年度の未使用額がそのまま来年度へと引き継がれることとなった。 来年度は最終年度ということもあり、当初は計画していなかった研究協力者とともに写真撮影した史料を活字化するという作業を今年度も継続する。そして、計画以上の成果をあげていきたい。
|