2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K13548
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
村上 正和 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (90736787)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 清朝 / 北京 / 慈善事業 / 善会・善堂 / 嘉慶 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画の初年度となった本年は、研究実施計画に従い、研究の基礎となる史料の収集を主に進めていった。その成果に基づき、清朝政府の救貧政策に重点を置いて中央政府の公文書史料の分析を行ったところ、特に乾隆年間から嘉慶年間にかけての政策についてはかなりの研究の進展があった。またあわせて、清朝末期に執筆された日記史料や、欧米・日本の中国体験記の精読と分析もおこなった。その中でも特に18世紀から19世紀にかけての在華イエズス会士の報告や、ロシア使節の中国体験記は、当初の見込み以上に本研究に関わる記載があった。特に育嬰堂がおこなっていた陸慈航について一定の史料を収集できたことは、今後の研究につながる実績といえる。陸慈航とは、牛車で北京城内を巡回して遺体を回収し、埋葬する事業であるが、管見の限りでは中央政府の公文書史料にその実態が詳細に記述されることは少ない。陸慈航に関する史料を収集できたことは予想外であり、来年度以降の研究においても引き続き力を入れていきたい。これらの研究活動により、清朝政府の救貧政策に関する議論、北京にとどまっている流民の送還に関する清朝政府の方針の変遷、民営の慈善事業への援助額、炊きだしに集まった人数、慈善事業にかかわった人々の活動、生存のための貧民の戦略といった諸点について理解を深めることができ、研究会で報告する機会も複数得られた。また研究成果の一部を論文化して、国内の学術雑誌への投稿も果たした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内での史料調査については、時間と旅費が当初の見込みよりもかかってしまった。この点は来年度以降の修正点ではある。しかし本年度は史料収集を一定程度進めることができた。また研究成果を論文化して国内学術雑誌に投稿することもできた。総合的にみて順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の推進方策は申請時と同様である。今後も研究計画通りに、史料調査、分析、論文執筆を進めていく。来年度は18世紀末から19世紀の中国社会の変動を視野にいれつつ、研究を推進していきたい。あわせて北京近郊でのフィールドワークも計画している。
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Causes of Carryover |
3月に東京で研究発表をする予定があり、その出張旅費を確保するために若干の金額を残した。
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Research Products
(6 results)