2018 Fiscal Year Research-status Report
オスマン帝国における文化的選良層の社会生活と美意識の変遷についての社会史研究
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17K13550
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮下 遼 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 准教授 (00736069)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | トルコ史 / トルコ文学史 / トルコ文化史 |
Outline of Annual Research Achievements |
オスマン帝国の文芸文化の屋台骨を担ったオスマン文人・詩人の美意識の変遷を考証する本研究にあって今年度の主な目標は、これまで研究遂行者が行ってきた近世期についての研究成果を踏まえた上で、近代期(1839-1922)における文学的美意識の変化を、同時期の文人・詩人における創作環境の変化という社会的要因と、主に西欧からもたらされた新来の文学ジャンルやテーマの移入という叙法上の変化に分けて考察することであった。その成果については、まず口頭発表「『タラートとフィトナトの恋』の語りと「国語」創出の試行」、「近現代トルコ語、ペルシア語文学の展開:韻文と散文、口語と文語、翻訳と創作(トルコ文学研究会 第7回定例研究会)」東京外国語大学本郷サテライト, 2018年8月19日、ならびに「文学の都市イスタンブルの盛衰:現代トルコ文学の淵源としての都市像を読み解く」於ユヌス・エムレ文化センター(東京), 2018年11月17日において、その一部をまとめ公表した。また2018年度内の出版には間に合わなかったものの、同じく本研究の研究成果に依拠し、研究遂行者が共編・著者を務める論文集Shaping the Field of Translation, Esin Esen and Ryo Miyashita(eds.), 2 vols., Pete Lang GmbH, 2019として刊行予定である。以上のように概観すれば順調に研究遂行を行い得た思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前記の通り、一定の成果を出し得た反面、活字化された研究成果が2018年度内の出版に間に合わなかった点を考慮して(2)と評価した。ただし、前掲の編著書に関しては出版社校了しているため、遠からず出版される予定であることも付記しておく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続き近代期オスマン文人・詩人のテクスト分析を継続しつつ、とくに文字改革および言文一致運動に関連する文学者たちの立場と文学テクスト内における実践の様態の考察に傾注することとなる。2019年度内の研究成果に関しては2020年度内を目途に出版予定である。
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Causes of Carryover |
トルコからの書籍購入に際して、予想以上にトルコリラが暴落したために残額が出た。この残額も含め、来年度予算はトルコ共和国への海外調査(文献調査、研究打ち合わせ、学会講演)、および文献複写・購入費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)