2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the development of the Emperor's rule system in the Former Han dynasty,focusing on personality bond
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17K13551
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
福永 善隆 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (00581539)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 劉邦集団 / 前漢文帝 / 察挙 / 服色改正 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は人格的結合の展開を通して、前漢における皇帝支配体制の展開を解明することを目指し、前漢の初代皇帝高祖劉邦と彼に従い、漢王朝を打ち立てた創業の功臣たちによって構成される劉邦集団に着目して、研究を進めてきた。 今年度は皇帝と劉邦集団との関係及び劉邦集団内部の構造が変化する転換点として、第5代皇帝文帝期に着目して、研究を進めた。まず、2020年7月18日(土)にオンラインで行われた、第3回漢唐史研究会において、「前漢官制秩序の形成と劉邦集団」と題する報告を行い、察挙の構造に劉邦集団内部の構造が大きく反映されていることを論じた。また、同年11月7日(土)にオンラインで行われた、第75回東洋史学研究会において、「文帝期における劉邦集団の実態:服色改正との関係を中心として」と題する報告を行い、当該期に行われた服色改正の議論を通して、文帝期に劉邦集団が置かれた状況について論じた。その際、劉邦集団が服色改正の議論に反対していたこと、劉邦集団にとって服色改正が高祖劉邦のカリスマ性と関わる問題と認識されていたこと、さまざまな背景をもつ官僚を結集するために高祖劉邦のカリスマ性が利用されていたことを明らかとした。 さらに、『鹿児島大学法文学部紀要人文学科論集』第88号に、「前漢文帝期における察挙の形成と劉邦集団」と題する論文を公刊した。これまで皇帝側の意図からしか考察されていなかった文帝期の察挙について、その議論・実施に劉邦集団が影響を与えたこと、劉邦集団にとっては自身の勢力を維持するために、関係のある人材を登用し、彼らのネットワークに取り込むことを目的としたことを論じた。 これら文帝期に生じた変化と当該期の状況が解明されたことにより、以降、どのように作用して人格的結合、さらには官僚機構、それに支えられた皇帝支配の構造に影響を与えたのか、さらに研究を展開する土台を固めることができたと思う。
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Research Products
(3 results)