2021 Fiscal Year Annual Research Report
Church Law and Historiography in Late Antiquity
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17K13556
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 創 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (50647906)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ローマ法 / 教会法 / ギリシア神話 / ラテン語 / ヘレニズム / 古代ローマ帝国 / キリスト教 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も昨年度に引き続きコロナ下のもと、国内に滞在しての研究遂行となった。そのため、海外調査での新規情報の獲得ではなく、これまでの成果を発表し、一連の研究成果をまとめることを主眼とした。内容としては、古代から中世初期にかけてのギリシア語やラテン語著作の文化的伝播の過程を叙述した論考と、ローマ帝政後期のキリスト教会会議規定集成に関わる論考が公刊された。また、帝政後期のローマ法史料の翻訳を研究雑誌上に発表した。具体的に言えば、2021年12月に出版された、大黒俊二, 林佳世子(責任編集)『ローマ帝国と西アジア 前3~7世紀』〈岩波講座世界歴史3〉(岩波書店)においてローマ帝国時代の文化交流の諸側面をまとめた論考「ローマ帝国時代の文化交流」を発表し、ヘレニズム時代からキリスト教ローマ帝国に至るまでの神話の社会内での役割や、ラテン文化の東地中海圏への東漸の過程を描写した。また、Y. Suto (ed.), Transmission and Organization of Knowledge in the Ancient Mediterranean World (Phoibos Verlag, 2021)に掲載された"Transmission of Council Documents: A Case of the Fourth-Century Antiochene Church"は、名古屋大学で開催された国際シンポジウムの成果を基にしつつ、6世紀に至るまでの教会会議規定の編纂手法の違いをまとめ、4世紀の教会会議規定の歴史的特徴を抽出した。さらに、6世紀にユスティニアヌス帝のもとで編まれた『ローマ法大全』の一部を成す『法学提要』第1巻の邦訳(訳註付)を『ローマ法雑誌』紙上に投稿した。
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