2018 Fiscal Year Research-status Report
後期ローマ帝国時代における世界認識の構造にかんする研究
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17K13561
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
南雲 泰輔 山口大学, 人文学部, 講師 (70735901)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 後期ローマ帝国 / ポイティンガー図 / 公的伝達システム / ローマの道 / 西洋史 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は,当初の計画通り,(1)2017年度までの研究成果を学術雑誌へ投稿するための原稿化作業を進めるとともに,(2)2018年8月に,オーストリア共和国・オーストリア国立図書館および関連博物館・美術館において,後期ローマ帝国時代の世界認識に関連する史資料,特に本研究課題における最重要資料である『ポイティンガー図』に関連する史資料に重点をおいて調査を実施した。事前にオーストリア国立図書館ウェブ・カタログで資料所蔵調査を行ない,同図書館関連部局(特に地図部門,手稿・稀覯書部門)の担当者にメールで連絡を取ったことにより,日本では入手困難な関連文献の閲覧・複写や関連古地図の閲覧・写真撮影を,滞在期間中の限られた時間のなかで集中的かつ効率的に実施することができ,現地で新たな文献や情報をも入手するなど,多大な収穫があった。(3)これらの史資料の整理・検討と並行して,『ポイティンガー図』の情報の継承関係の観点から注目している『アントニヌス旅程表』の分析に着手したが,上記の資料調査の結果,『ポイティンガー図』と『アントニヌス旅程表』との比較研究が相当程度進展していることを確認した。その方向性は当初計画における見通しから大きく外れるものではないと考えているが,2017年度までの研究動向整理について部分的な再検討の必要が生じており,現在は史資料分析と併せ,執筆中の原稿の完成度を高めるべくさらなる修正作業を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度の最大の収穫は海外資料調査で多数の史資料を収集しえたことであるが,それらの整理・検討にかなりの時間を要していること,またその結果,2017年度までの研究成果の原稿化に際して見直しを行なっており,2018年度中の学術雑誌への投稿には至らなかったことから,「やや遅れている」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの研究に必要な史資料の収集は順調であり,今後もこれらを利用して,基本的には計画調書に従って逐次推進するとともに,遅れている成果の公表にも注力する予定である。なお,2017年度からの懸念材料である国立情報学研究所GIFプロジェクト(OCLCグローバルILL)終了に伴う国内での史資料収集の困難については,所属大学図書館の担当者にご尽力いただいており,現時点では大きな問題とはなっていない。
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Research Products
(4 results)