2023 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on Crisis Responses of Herring Fishermen and Fishing Communities in Modern Hokkaido
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17K13582
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
服部 亜由未 愛知県立大学, 日本文化学部, 准教授 (70708370)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 水産資源 / ニシン漁業 / 北海道 / 漁家経営 / 歴史地理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、天然資源に依存した産業における危機対応の解明に向け、ニシン漁業を事例に漁獲量減少期のニシン漁家やニシン漁獲地域の展開を実証することにある。 今年度は、9月と3月に北海道博物館にて大規模ニシン漁家文書(同館所蔵の青山家文書)の文書整理と調査、北海道立文書館にて明治35(1902)年から昭和26(1951)年の定置漁業権所有者情報等を記載した『免許漁業原簿』、『共同漁業権者名簿』、また、昭和初期に測量され、その後漁場の位置が随時加筆修正された『北海道沿岸漁場図』の閲覧と撮影をした。 近代北海道におけるニシン漁家の全容は、盛衰の激しさや漁家数の多さから未だ不透明である。しかし、本研究において、『免許漁業原簿』『共同漁業権者名簿』および『北海道沿岸漁場図』の整理によって、ニシン漁業権の所有状況に限定されるものの、その一端が明らかになった。『免許漁業原簿』からは、ニシン以外の定置漁業権についても把握できるため、ニシン漁家が他の漁業に進出する過程も確認できた。したがって、ニシン漁業に限定せず、すべての定置漁業権の変遷についてデータベース化を進めた。ただし、1郡について漁業権数と所有者数が多いため、本研究の研究期間内に北海道全域を完成させることはできなかった。途中段階ではあるが、完成分については、北海道博物館や小樽市博物館にこのデータを提供した。本研究期間は終了するが、さらにデータベース化を進めたい。 また、各地域におけるニシン漁家の史料調査を進めるにあたり、南弥太郎家文書の『当用日記』が、ニシンの漁獲量減少期において、ニシン漁業期間中のみならず、1年間のニシン漁家を取り巻く事象、地域の様子について読み取ることができる貴重な史料であることを確信した。そこで、改めて原本を確認し、『南弥太郎家文書「当用日記(1924年)」翻刻』を刊行した。
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Remarks |
服部亜由未(2024)『南弥太郎家文書「当用日記(1924年)」翻刻』
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