2018 Fiscal Year Research-status Report
ポスト成長社会における社会経済格差と居住地域分化の関係に関する小地域分析
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17K13584
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
上杉 昌也 福岡工業大学, 社会環境学部, 助教 (50791886)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 居住地域分化 / 社会経済格差 / 小地域分析 / 職業構造 / GIS |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、社会経済的な居住分化の変遷とその形成要因を明らかにすることを目的とした。2000年から最新の2015年の国勢調査データを用いて、日本の10大都市における職業階層に基づく居住分化指標の変化からは、都市間で大きな差は見られないものの、ほぼすべての都市においてホワイトカラー層とブルーカラー層の小地域スケールでの空間的分離が進んでいることが明らかになった。また地理的な観点からは、居住分化指標は類似した水準であっても、都市内部での地区構成や空間分布は大きく異なるが、多くの都市に共通してホワイトカラー層が卓越する地区が増えていること、特にそのような地区が都心部に集中する傾向があることも見出された。 一方、居住分化の形成要因としては経済格差の拡大のみならず、グローバル化による産業構造の変化や住宅・福祉政策などの影響が指摘されているが、実際にジニ係数が高い都市や第2次産業就業者割合が低い都市、公的住宅の空間的偏りの大きな都市でホワイトカラー層とブルーカラー層の間の居住分化が大きい傾向がみられた。ただし、その変化との関係については、必ずしも居住分化の変化と連動しているわけではないことも示された。 さらに本年度はオランダで行われたセグリゲーション研究の国際会議で招待講演を行い、海外研究者との意見交換や情報収集ができたほか、居住分化関連の論文を複数発表し、上記の研究成果について日本地理学会春季学術大会等で口頭発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最新の国勢調査である平成27年の小地域集計結果が当初の予定よりも早く入手できた一方で、分析に併用した別の統計調査のオーダーメード集計の手続きに時間がかかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
都市レベルの居住分化の測定に関して都市圏を含む空間スケールの問題について再検討すること、対象都市数を拡張すること、住宅供給動向との関連性のより詳細な検討を行うことなどを予定している。また最終年度であることを踏まえ、これまでの研究成果についてとりまとめ、地理学や都市計画関連の学会誌において公表する予定である。
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Causes of Carryover |
招待講演により当初予定していた海外旅費が不要になったため次年度使用額が生じたが、その分に関しては研究成果公表にかかる費用に充てる予定である。
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