2018 Fiscal Year Research-status Report
フランスにおけるジプシーの「旅の共同体」に関する文化人類学的研究
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17K13585
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
左地 亮子 (野呂) 東洋大学, 社会学部, 准教授 (50771416)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ジプシー / ロマ / フランス / 市民社会 / 人類学 / ノマディズム / 共同体 |
Outline of Annual Research Achievements |
フランスのジプシーは、移動という生活様式に基づき、定住民社会の隙間に散々して暮らしてきたが、現在、進行する定住化とそれに伴う居住政策の下で、一つの名と特定の場をもつ「共同体」として一元化、周縁化されつつある。本研究は、この人々を「ジプシー共同体」として集約し隔離する諸力との交渉の中で、ジプシーが新たに紡ぐ「旅の共同体」を検討し、押し付けられた共同体を離れ、束の間の旅をするジプシーが、異質な他者との出会いを通して市民社会の内部に創出する非同一的な共同性を明らかにすることを目指している。 [現地調査]本年度は、9月と2月・3月の二回にわたり、当該研究課題に関わる現地調査をフランスのポー地域、シャンパーニュ地方、パリにて行った。それにより、調査対象地域における居住政策の進展、ジプシー居住地のゲットー化の進行を示す情報を得るとともに、こうした状況下で調査地の人々がどのように/どのようなノマディズムの実践(季節的農作業や信仰を目的とした移動)を編みだしているのかという点に関しても重要な民族誌的データを得ることができた。 [シンポジウム開催]10月に、フランスのジプシーに関する民族誌的映像に関するシンポジウムを開催し、研究成果の一部を広く発表することができた。 [論文および口頭発表]本年度は、当該研究課題に関わる論文や論考を発表するとともに、国際研究集会および国内の研究会等で、当該研究課題に関わる口頭発表を複数回実施することができた。これらの研究発表に際しては、関連研究者やその他の幅広い分野の研究と本研究に関わる意見交換をすることができ、最終年度となる来年度に研究成果を論文あるいは単著にまとめていくうえで、大いに参考になる知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2回の現地調査、複数の研究発表、シンポジウム開催と、当該研究課題に関わる考察を深めるための資料収集と発表を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、5月と8月に信仰を目的とした移動実践を調べるための現地調査を行い、それらによって得られたデータをもとに、研究論文と単著を執筆し、本研究の最終的な成果を取りまとめる。
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Research Products
(8 results)