2019 Fiscal Year Research-status Report
無形文化遺産をめぐる知識人、政府、担い手の諸実践-広東省の水上居民を事例として
Project/Area Number |
17K13589
|
Research Institution | Shokei Gakuin College |
Principal Investigator |
稲澤 努 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 准教授 (30632228)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 無形文化財 / 水上居民 / エスニシティ / 汕尾 / 高州 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までも行ってきた広東省における調査を継続して行い、無形民俗文化の活用状況に関するデータを得た。これまで調査を行ってきたデータと合わせ、分析をすすめている。 汕尾の漁歌隊による各地でのコンサートは、2019年秋頃まで不定期ながら引き続き行われていた。冬季に新型コロナウィルスが流行して以降そうした活動は行われていないが、「戦疫歌」という武漢市民や政府関係者、医療従事者など新型コロナウィルスと戦う人々へのエールを漁歌風のメロディで歌う歌を作成し、地元メディアで紹介されるなどのあらたな利用も行われている。今後は、こうした動きが当事者やその周囲にどういった影響を及ぼしているのかについて、情報収集と分析を進める。 高州では、政府主導でxian(さんずい+先)夫人を中心とした地元の「文化資源」の利用が行われている。しかし、その全てを政府自らが行うわけではなく、祭祀を兼ねたイベントなどは「民間の会社」が中心となって行われているものもあった。そこでは、省内各地の獅子舞が集い、技を競い合うなど、市をこえた地域間の交流が見られるが、だからといって多くの観光客が来るわけではなく、直接的な経済効果があるのかどうかには大いに疑問がある。今後は、イベント会社と地元住民とのやりとりや、特に観光開発を企図していない住民たちの活動などについて、さらに詳細なデータ収集と分析につとめる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
汕尾を中心とした無形文化財の保護・利用状況の概要はつかめているが、新型コロナの流行により2020年2月以降現地訪問ができないため、資料収集等に遅れが生じている。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス流行のため、2020年度に現地調査や海外での学術交流が行える可能性は極めて低い。そのため、今年度はこれまで得たデータの整理等に専念し、研究期間を1年延長して最終的な成果を発表することにしたい。
|
Causes of Carryover |
2月に他の研究費と合算での現地調査を予定していたが、新型コロナの流行で実施できなかったため。
|
Research Products
(3 results)