2020 Fiscal Year Research-status Report
無形文化遺産をめぐる知識人、政府、担い手の諸実践-広東省の水上居民を事例として
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17K13589
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Research Institution | Shokei Gakuin College |
Principal Investigator |
稲澤 努 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 准教授 (30632228)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 無形文化遺産 |
Outline of Annual Research Achievements |
国立民族学博物館での共同研究において「中国の『民族』とエスニックグループをめぐる研究動向」というタイトルで発表を行った。この発表は中国における「民族」をめぐるこれまでの研究動向をレビューしたものである。その中で、無形民俗文化財(非物質文化遺産)に関連する研究についても言及し、現代中国における無形民俗文化財と民族・エスニシティの関係にも言及した。この内容は、今後さらにブラッシュアップさせ、論文集に掲載する予定である。 また、同研究会では、中国の無形民俗文化財をめぐる研究動向についても、情報を収集することができた。今後は、そこで得た情報をもとに、さらなる文献の収集と読み込みをすすめたい。 さらに、日本華南学会2020年度研究大会において、「高州の水上居民の陸上がりと信俗の変遷」と題する発表を行った。その中で、無形民俗文化財になっている信俗ではないものの、「水上居民らしさ」を表すことになるものがあることと、もともと水上居民の間ではさほど信仰されていなかったxian(ニスイ+水)夫人という神への信仰が、茂名市の無形民俗文化財になることもあいまって権威をもち、水上居民の間にも広まるなど、神や信仰をめぐる動態の中にも、無形民俗文化財への指定の影響があることも指摘した。この発表も、2021年度中に学術雑誌への投稿論文として掲載する準備をしている。 なお、中国での現地調査や学術交流を予定していたが、それらについては全く行うことができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ渦により、予定していた現地調査が全く行えなかった。また、突如始まった非対面授業への対応などにも時間をとられ、研究時間そのものが減少してしまった。そのため、2020年度はこれまで収集したデータの見直しをするにとどまり、研究を進展させることができなかった。その結果、研究期間を延長することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も引き続き海外調査は非常に難しい状況にある。そこで、追加の現地調査は計算に入れず、文献の収集と読み込みを再度行って、これまで得たデータを使っての分析を行うこととする。 海外での研究成果の発表なども難しいが、zoom等の手段を使って、積極的に交流し、成果のブラッシュアップに努めたい。
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Causes of Carryover |
コロナ渦により、海外調査・海外学会発表等が実施できなかったため
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Research Products
(3 results)